もっとも、最大の問題は「カリオカのトランプ」と言われた超保守派の
ボルソナロ大統領自身がコロナの感染を風邪を引いたような意識しかもっていないということである。だから、マンデッタ元保健相の封鎖の必要性を無視して経済を優先する姿勢を保っていた。マンデッタ元保健相が人と人との距離を置き、外出することや集会をしないように忠告していたことに対し、ボルソナロ大統領は
マスクもせず集会の中に入って演説をしたりしていた。だから
彼の熱狂的支持者たちは彼と同じような行動を取り感染を拡大させた。
ボルソナロは逆にマンデッタ保健相に封鎖などの緩和を要求したが、それを拒否したマンデッタ保健相を解任した。その後任のタイシ保健相もボルソナロの保健衛生面を無視した行動について行けずひと月も経過しない内に辞任した。ということで、ボルソナロは医学とは全く関係のない軍人を保健相に任命して彼の意のままにさせようということである。
ボルソナロの経済を優先して封鎖による社会的距離を置く政策に反対する姿勢がサンパウロやリオデジャネイロの州知事らの考えと対立を生むようになり、国全体でまとまったコロナに立ち向かう姿勢が欠けてこれまで有効な対策が取れないでいる。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身