菅義偉政権による日本学術会議会員の任命拒否問題。これに抗議して著述家の菅野完氏が首相官邸前で抗議の
ハンガーストライキを開始して、配信時点で足掛け13日目に突入した。
私はこの間、4度、ハンスト現場に足を運び、取材をした。
4度のうち3度、官邸前に到着する前に路上で警察に道を塞がれ往来を妨害されている。残りの1度も、現地到着後にやはり妨害された。全て、他の通行人は警官から一切妨害されず自由に歩いている歩道や横断歩道でのことである。
私だけではない。菅野氏も、菅野氏とは別に官邸前でプラカードを掲げ静かに抗議活動をする人も、往来を妨害されたり荷物検査をされ言いがかり的に連行されそうになったりしている。
そもそも菅野氏が官邸前でハンストを続けている最大の理由は、
菅政権による日本学術会議への法に反した人事介入だ。それに対する抗議の現場で、
警察が、これまた法に反して人々の行動や人権を制限している。
法治国家の危機どころか、すでに法治国家としての日本は崩壊済みなのではないかと感じさせられる。現場の状況をリポートしつつ、その実情について考えたい。
菅野氏は自身のツイキャスでの中継やラジオ出演などを通して、こういった趣旨のことを繰り返し語っている。
「任命拒否は学問の自由の侵害という側面もあるが、それ以上に、
菅政権が法に反した人事介入を堂々とやってのけた点にある」
日本学術会議に何か問題があるのであれば政権が法に則って対処するのが法治国家だ。その点、日本学術会議法が定める「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」(第7条)について、逆に推薦に反して総理大臣が任命を拒否できるとする法解釈すらも存在しない中での任命拒否は、理由が何であれ
法に反している。
私は菅野氏の主張や説明をそう理解し、賛同している。言論ではなく官邸前でのハンストという行動に走り、不特定多数に向けて「応援してますと言うよりも、お前自身が戦え!」と毒づく彼の危機感も理解できる。菅政権の行為は学問や学者にとどまらず法そのものを殺すからだ。