コロナ禍で、甚大な影響をうけている業種のひとつに飲食業があります。この半年で数多くの店が閉店し、存続しているお店も瀕死の状態。持続化給付金などの支援はありましたが、ジリ貧の状況に変わりはありません。
新橋にあるBAR「八月のうさぎ」のマスター渡邉善大さんに、もし1ヶ月の売り上げが50%減ったとして、そこに100万円の支援があったら、何ヶ月延命できるかという質問を向けると「うちは8席の小さなお店で従業員も私1人ですが、2ヶ月かカツカツで頑張っても3ヶ月ですね」と話します。
それでも「その延命ができれば、チャンスやチャレンジの時間になりますから本当に貴重です」とも。単純計算で、こうしたお店が100軒救えることになります。
1億円で、どんなに助かる人が多いかということを列挙しても「弔問外交として必要な経費だ」という声はあります。弔問外交とは、各国の元首などの葬儀に諸外国から要人が参列するため、その機会に外交を行う事を指します。
中曽根元総理の合同葬に1億円の税金が投入されることに異を唱える声への反論の多くは、各国要人が集まる日本の元総理の合同葬は、厳重な警備も必要である上に、外交の費用としても必要だという主張。
実際、昭和天皇の葬儀にあたる大喪の礼(1989年)において、それまで国交のなかった中国とインドネシアが接触し、翌年の国交正常化に繋がったと言われています。
また、2007年にロシアで執り行われたエリツィン氏の葬儀にアメリカをはじめとする諸外国からはブッシュ元大統領らが参列したにも関わらず、日本は「葬儀に間に合う飛行機が調達できなかった」として、ロシアに駐在する大使を参列させるにとどまりました。
これに対し、ロシアに軽視されたと解釈されかねないとして、国会でも追及される事態になるほど、弔問外交を重要視する向きもあるのです。
今回の合同葬について、政府は当初その経費を約8300万円になると見込んでいました。それが、約1億9千万に変わってきたことにも批判がありますが、自民党は「必要最小限」としたうえで、参列者の数も当初予定していた数の半分以下である1500人程度に下方修正したとしています。
とはいえ、このコロナ禍で密を避けながら行われる葬儀に、弔問外交の場として1億円近い税金を投入する意味があるのか、そこもまた疑問の声があがっています。
<文/Mr.tsubaking>