人類の危機を緩和する、長期的ビジョンと政策こそ肝要
コスタリカでは、医療崩壊を防ぐため、第一波の襲来前から医療インフラ拡大が急ピッチで進められ、専用の施設まで作った。幸い第一波ではそれを利用するまでもなかったが、10月に入った段階でICU入院患者は200名を超え、死者の累計も1000人に迫る勢いだ。第二波の行方は、まだまだ出口が見えない。
長期化するコロナ禍に対応するためには、当面の医療拡大への投資という短期的政策はもちろんのこと、社会全体にインパクトを与えるような重大な危機に強い(レジリエンスが高い)経済社会の構築という長期的政策の策定と実行が肝要となる。この場合、社会的レジリエンスの弱さは国内の経済格差と隣国の不安定さが主な要因であり、それが長期的課題ということになる。
ただし、それは何もコスタリカに限った話ではない。また、全世界を襲う脅威はパンデミックに限らない。たとえば気候危機がいい例だ。どちらも、国や地域にかかわらず、もっとも脆弱な社会層や国・地域から社会を突き崩してゆき、最終的には全体に影響を及ぼす。
私たちも、現在のコロナ禍に現場で対応しつつ、よりレジリエンスの高い社会を長期的視点で構築しなければならない。それが、コロナが浮き彫りにした、人類社会に共通する課題なのだ。
新しく発足した菅政権及び野党には、特にどのように社会的レジリエンスを強化していくのか、市民に明示しつつ互いに議論を深めていってもらいたい。それがひいては、COVID-19だけでなく、気候危機なども含めた、新たな人類に対する脅威を乗り越える鍵となるだろう。
<文・写真/足立力也>