山本代表「都構想は、大阪府が大阪市の財源をカツアゲするようなもの」
山本代表の街宣は予告なしだったが、しだいに聴衆が増えていき、街宣終了後のツーショット写真撮影には列ができた
大石氏の大阪報告を受けて山本代表が、大阪都構想の説明を加えて次のように取りまとめた。
「『少子化はこのまま続くではないか。他のもので金を稼がないと(いけない)』みたいな話になって、外国人に頼る話になったとしたら、外国人が来なくなったら行き詰るに決まっているではないですか。
そうではなくて、しっかりとした土台。少子化という現実はあるが、どう打破できるのかをやっていかないといけない。でも、そういうことは恐らく(維新府政・市政では)やってこなかったということです。
(大阪都構想で)大阪市を消滅させて4分割することによって、2000億円程度がカツアゲされるという話をしました。それを大阪府がコントロールをしていくという話ですが、これはそもそもが間違いです。
ハッキリ言うと、大阪市の財源に手を突っ込んでくるなという話なのです。大阪府はカネがないから、大阪市に手を突っ込んでやろうというのが都構想。橋下(徹)さんが2011年に言っていた『大阪市が持っている権限、力、お金をむしり取る』という考え方自体が間違っている。ただのカツアゲですよ」
菅政権のもとでは、中小零細企業はさらに厳しくなっていく!?
さらに筆者が菅政権についても聞くと、山本代表は次のように語った。9月21日の梅田駅前のゲリラ街宣後の囲み取材の時のことだ。
「菅さんに質問しても、ずっと“塩”対応だったので。塩みたいな答弁しか返してくれない。でも個人的にトイレでご一緒する時には、非常に柔らかい会話をしてくださる方なのです。『最近、慣れてきましたか』とか、非常に人たらしの方です。でも一方で仕事となると、ちゃんと答弁をしなければならないところをきっちり答弁しない。
菅さんがトップに就いていちばん問題なのは、安倍政権(首相)の答弁よりもさらに“塩”ですよ。数々の疑惑が出てきたのに、どうして安倍政権が7年8か月、乗り越えられてきたのは菅官房長官の力ですね。『力』というのは何かというと、答えているようで答えない。
『問題ない』ということで終わらせることを、繰り返しやってきた強靭な精神力だと思います。だから、その方がトップに立つというのは、かなり野党側としては手ごわい。
あの方が会食を重ねている方々、竹中平蔵さんとかアトキンソンさんとかを見ていると、これは新自由主義、弱肉強食にしていく(のではないか)。どんどん淘汰されていく。
『潰れそうなところはどんどん淘汰されていけばいい』という方向性にどんどんなっていくだろうなと思います。
と考えると、中小零細企業はこの国の企業総数の99.7%ですから、そう考えると先は非常に厳しい状況。ここを打破していけるのは、次の選挙だと思っています」
新自由主義・弱肉強食の社会か、脱新自由主義・庶民による内需重視の社会か
大石晃子氏は、橋下徹・元大阪府知事がIWJ・岩上安身代表を訴えたリツイート裁判でも、維新府政の問題について証言
前出の大石氏も、インバウンド需要依存をともに進めてきた菅政権と維新の蜜月関係をこう語っていた。
「菅政権はインバウンド需要依存を推進してきました。デービッド・アトキンソン(小西美術工芸社社長)がインバウンド政策のブレーン。インバウンドを増やして、お金持ち向けのホテルが50くらい足りないのでもっと作れと言っていたり、『中小企業は財産・宝ではありません』ということを論文で書いていたりするような人です。
安倍政権から菅政権になって、さらにインバウンド(訪日外国人旅行)需要依存になっています。これを脱却することが、住民が豊かになる始まりだと私は思っています。そのキーになる地がこの大阪だと、大阪の人間としても思うし、日本全体のことを考えても思います」
次期総選挙の構図がはっきりと見えてきた。「大企業や富裕層がますます富む弱肉強食の新自由主義(インバウンド需要依存も含む)」と「一般庶民の家計消費底上げの内需重視の脱新自由主義」の対決だ。その前哨戦が、維新政治への審判も含む大阪都構想住民投票というわけだ。11月1日までの、両陣営の論戦が注目される。
<文・写真/横田一>