犬笛吹いて餃子店を休業に追い込むことは「経済を回す」ことじゃない。「ホリエモン新党」の都知事選候補者が発端となったマスク非着用騒動

堀江公園会

10月18日に予定されている堀江さんの講演会には「※当日のマスクの着用と検温検査へのご協力よろしくお願いいたします。検温後37.5度以上の方や、症状が確認される方の入場をお断りさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください」とある(イベント告知サイト魚拓より)

「マスク着用」を巡る騒動が頻発する中で……

 昨年末に中国の武漢で始まった新型コロナウイルスは、あっという間に全世界に広がり、とうとう死者の数が100万人を突破。感染者も3300万人を超え、無症状で病院に行っていない人などを含めると、ざっくり1億人以上が感染しているのではないかと言われています。  日本も新型コロナウイルスは例外なく蔓延していて、感染者は8万人以上、死者の数も1500人以上。秋の4連休で気が緩み、再び感染者が増えてしまうのではないかと懸念される中、いまだ画期的な治療法が見えないため、みんなが感染しないために努力を重ねています。ところが、世の中にはそういうみんなの努力を台無しにしてしまう人がいるのも現実です。先日、飛行機で「断固としてマスクをしたくない」と言い張る男性が登場。飛行機を降ろされたあげく、飛行機の出発が大幅に遅れるという出来事がありました。  マスクをしていないからと公共の場で口論や喧嘩になるのも問題ですが、こうした出来事は単なる「クレーマー」であり、こんなものは「マスクをしない自由」でも何でもありません。そんなにマスクをしたくないのなら、他の移動手段を考えればいいのです。  これと似たような話で、餃子屋さんで、同行者にマスクをしていない人がいたため、「マスクを着用しない人はお断り」ということで追い出されてしまった堀江貴文さんが、店の対応が悪かったなどとFacebookに書き込んで犬笛を吹き、餃子屋さんに多数の誹謗中傷やいたずら電話が殺到、営業を妨害をされた挙げ句に休業に追いやられるという事態になりました。〈参照:J-castニュース〉  この問題、実は「ホリエモン新党」に関連する話になっていたのです。

事の発端は堀江貴文さん一行の一員のマスク非着用

 この事件は、堀江貴文さんが広島県尾道市の餃子店を訪れた時に、グループの中にマスクを着用していない人がいたため、入店を拒否されてしまったのですが、対応が失礼だとしてFacebookにアップ。これを読んだ堀江さんのファンがお店に電凸をかまし、お店の営業が妨害されました。かねてから堀江貴文さんは「マスクの着用が義務付けられるのはおかしい」と主張している人で、LCCの飛行機でマスクの着用を断固拒否して飛行機を降ろされた事件でも「コロナ脳」と表現し、マスクの着用が義務付けられるのはおかしいと主張していました。  しかし、主張は何であれ、ここはお店のルールに従うべきです。相手のこともよく知らずにFacebookに悪評を書き込み、お店の悪評を垂れ流す行為は「経営者にあるまじき」だと思いますし、これではただの「モンスタークレーマー」です。  尾道市にあるこの餃子店は、本来、新型コロナウイルスに対する意識の高い優良店です。どれだけ味が美味しくて人気だったとしても、あまりの人気で店内が密になっているのだと、不安が先行してしまい、安心して食べられない人もいることでしょう。このお店では、もともと30席あった椅子とテーブルを撤去し、店内は1組、商店街と交渉して特別に設けられた店外の席には2組しか座ることができないお店になりました。  これで利益を出すのはかなり難しいと思いますので、利益より「安心」や「信頼」を重視しているお店だと言えると思います。このお店を昔から愛しているお客さんの中には高齢の方もいる人もいるでしょうし、そういうお客さんにも安心して食べてもらえる方が、お金を稼ぐよりも素晴らしいと考えたのでしょう。店内の座席を1人4人に限定するというのは、このお店が本当に新型コロナウイルスのことを考えている証拠です。ただ席を減らすのでは、かねてから指摘されているエアロゾル感染を防ぐことはできません。  店主は利益より「安心」を選択するタイプの人なのでしょう。1円でも多く稼ぐことを正義としているのではなく、1人でも多くのお客さんに笑顔になってもらうことをよしとして、ビジネスをしているタイプの人だということです。だから、お金を払えばどんなお客さんでも受け入れるというのではなく、お店が担保したい「安全」や「安心」を守ってくれるようなお客さんだけに食べてもらいたいということで、堀江貴文さんらの集団をお断りしたのだと思います。  それに、店主や従業員がどんな持病を持っているのかを僕たちは知りません。ひょっとしたら何かしら重たい病気があるのかもしれず、ひとたび店主や従業員が新型コロナウイルスに罹ってしまったら「死」につながる可能性すら否定できないのです。店主や従業員がどんな病気を持っているかなんていう話は、それこそプライベートな話であり、いちいち説明するほどの話ではありません。客も客で根掘り葉掘り聞くような話でもありませんし、持病のある常連客が食べに来ることだって十分に考えられます。もし前の客の飛沫を十分に拭き取り切れなかった場合、感染のリスクが高まってしまいます。だから、多くの人は事情を察して、何も言わずにマスクをつけるってなものです。
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