更に、3月から4月にかけては感染者が急増して病院でPCR検査をする余裕がなかったことから多くの患者がコロナ感染が原因で死亡したとは診断されずコロナ菌が誘発した病気を死因だとしていた。
特に、老人ホームでの死者の数は顕著で第1波で1万9600人余りの入居者がPCR検査を受けることなく死亡している。ということからこの死者数は政府の累計には勿論加えられていない。老人ホームで死亡してもそれを管轄自治州の関係当局に報告していなかったケースもあった。
政府は再調査をして正確な死者数を追跡して行くと表明してはいるが、実際にはそれを調査できるだけの手段はもうない。しかも、死者を解剖して調査しようとしても遺体はすでに焼却されている。だから、政府は今後も公式累計死者数をそのままにしておくという意向だのようだ。
8月以降は保健省が死者数をコントロールしており、第1波で発生したような事態にはならないように思われる。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身