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2020年9月、民間企業の新型コロナウイルス関連倒産は500件を上回り今後も減少の兆しは見えない。未知のウイルスの流行により、年齢問わず雇用環境は不安定になり、管理職クラスだからといって転職を考えなくてよいという時世ではない。そんな中で、安定した収入と高い社会貢献が見込める転職先として、40代以上で公務員を目指すという選択肢が今注目されている。
社会人を対象にした公務員試験面接アドバイザーの安達瑠依子氏は、40代以上で公務員試験に挑戦する人についてこう話す。
「受験者は増えていると思います。昨年19年から30代後半〜40代前半のいわゆる就職氷河期世代を対象にした特別枠採用が始まったこともあり、それに応募する人もいますが、全体的に私のところにアドバイスを求めて来られる受講者の年齢上限も、上がっているという実感はあります」
新卒以外の公務員採用枠「社会人経験者採用」は、国家公務員を含め都道府県や横浜市や名古屋市など政令指定都市の大半が59歳まで受験可能な自治体がほとんどだ。
「2000年代から民間の経験やノウハウを行政の中で活かしていこうという『公務員改革』が叫ばれるようになったこと。即戦力の優秀な人材を採用したいと考えるなら、学歴だけで能力は未知数の新卒採用では限度があります」
民間で経験を積んだ人の能力をもっと活用していこう、という考えに行政がシフトしていっていると安達氏は指摘する。
公務員試験は通年6〜9月に筆記、10~11月に面接というところが多い。国家公務員は狭き門だが、地方公務員の試験内容は高卒程度の一般教養と小論文とやや易しめになっている。それを突破したら、小論文や面接で自身の経験をしっかりアピールすることが重要となる。
「面接に関しては、ほとんどの人が何をすればいいのか分からないままで受験して、その結果うまくいかない方が多いです。実をいうと、私のところにいらっしゃる人も一度面接試験で失敗してくる方が多いです」
せっかく筆記が通って面接にコマをすすめても、そこで落とされてしまうのは非常にもったいない。
「要は面接官に対して新卒が話すようなことしか話せていないのです。社会人の面接になれば、やはりマネージメントのことも聞かれます」
一例を出すとこんな問題だ。
面接室に入り、席に座ったらそこにシチュエーション課題がおいてある。「あなたは4人のチームで働いています。上司は病気がちでなかなか仕事に出てこられません。自分の部下は2人いて、自分より年上の人と勤続2年目のモチベーションが落ちている人。あなたは主任としてこのチームをまとめて目標達成するために、何といいますか?」
そんな問題にその場で答えることになる。
加えて民間企業と違って、公務員試験の場合、マネージメント職や営業職といった、どんな人材のどんな技術がほしいのかということが、面接の段階にならないと分からない。その対策として、少なくともそこの自治体の抱えている問題に精通して「自分ならその問題に対してどのように取り組むか」をアピールできる必要がある。