では具体的に、どのような状態を食糧危機と呼ぶのでしょうか。
「この基準は、誰が見てもわかるようにしておく必要がありますね。ですので、日経新聞の商品欄で『豚肉輸入・生鮮。デンマークカラー(冷凍)価格の加重平均が1kgあたり3500円以上』になった時と規定しています。平時に比べると、だいたい5~6倍になりますね。
今回のコロナですと、マスクなどがあっという間に10倍くらいになったのは、みなさんの記憶にも新しいと思います」(草間社長)
毎週水曜日の日経新聞に掲載される内容に基づいているものだということで、契約者には数値が超えた際にメールで通知される仕組みになっています。
また、同サービスが必要となるのは食糧危機だけではありません。想定されるそのほかのシチュエーションについても聞いてみました。
「例えば米中戦争が勃発したら、中国製の加工食品を輸入できなくなる恐れがあります。コンビニに置いている商品の大半がなくなってしまうかもしれないんです。
それから、デフォルト(国家債務不履行)ですね。今回のコロナ騒動で、日本はひょっとしたらわざとデフォルトをやる気なんじゃないかという風にも見えますね。リーマンショックの時にアメリカでは50兆円以上を金融機関に投入し、大騒ぎになりました。それが今回、日本では200兆円の経済対策を行いました。
どんなにお金を持っていても物がなければ買えませんし、ハイパーインフレーションになったらお金自体の価値が急落しますので、1億円の保険に入っていてもそれが100万円の価値になってしまうような可能性はありますからね。なので、食べられるものが来るというのがポイントなんです」
このように考えれば、食糧危機は私たちが考えているよりすぐそこに迫っているのかもしれません。
「お肉の保険」と言えるようなサービスにも感じられますが、保険ではなく保障である部分が、利用者にとってのメリットをもたらしているといいます。
「例えば自動車保険ですと、車をぶつけたとか『損失を立証』しなくてはいけないんですね。食べ物に関しては、現実問題これが難しいんです。だから『規定値を超えたら自動的に送りますよ』ということなので、立証の必要がないんです」
さらに多くの保険は天変地異や戦争の場合は大半が免責となりサービスが受けられませんが、「このサービスは基本的に、規定をこえれば自動的に翌月から給付が受けられるようになっています」とのこと。
戦争で倉庫や工場が破壊されれば、現実的に給付はできないが「工場や倉庫は、8カ所ほどに分散しているので、全部がやられることはないと思います」と話します。
金融庁に事業内容を提出する際にも、専門の弁護士から「世界初だと思います」との太鼓判をもらったと言います。あらゆる危機が顕在化しはじめた昨今。自身と身の回りの人の「食」の安心を得られるサービスになるのかもしれません。
<取材・文/Mr.tsubaking>