沖縄にとって悪夢の政権が始まった<沖縄タイムス編集委員・阿部岳氏>

菅総理は沖縄にとって悪夢

―― 次期総裁候補として名前があがっているのは菅義偉氏、岸田文雄氏、石破茂氏です(取材は8月31日)。彼らは沖縄にとってどのような政治家ですか。 阿部:菅官房長官は安倍政権の沖縄対策を一手に取り仕切ってきました。安倍首相が沖縄に関心がなかったので、菅氏が代わりに沖縄対策を取り仕切っていました。全国の機動隊員を沖縄に投入したのも、海上保安官を辺野古に投入したのも菅氏です。様々な権謀術数をめぐらして沖縄の選挙に介入したのも菅氏です。  もちろんこれらは安倍首相の承認のもとに行われたことですが、菅氏にも大きな責任があります。彼が最高権力者になることは沖縄にとって悪夢です。安倍政権より沖縄への対応がひどくなる可能性もあります。  岸田氏に関しては、全く印象がありません。沖縄担当大臣を歴任したようですが、記憶にありません。ただ、岸田氏も外務大臣や政調会長として安倍政権の路線に従ってきたのだから、彼が首相になったとしても、安倍政権と同じような政策を続けると思います。  石破氏については、最初に述べた「平成の琉球処分」の印象が強烈に残っています。世論調査によると、石破氏の支持率は高く、リベラルな人たちの間でも期待されているようですが、沖縄では歓迎されないと思います。最近、石破氏は辺野古の見直しに言及していますが、過去の言動を見る限り、石破氏が本気で辺野古の見直しに踏み込むかどうかにはきわめて懐疑的です。  そういう意味では、3人のうち誰が首相になろうとも、沖縄にとっては大した違いはありません。安倍政権が終わっても、安倍政権的な政治は終わらないということです。米軍基地は命に関わる問題ですし、民主主義も懸かっていますから、沖縄は今後も妥協することなく「安倍的なもの」と戦っていかざるを得ないのだと思います。 (8月31日、聞き手・構成 中村友哉) <提供元/月刊日本2020年10月号
げっかんにっぽん●Twitter ID=@GekkanNippon。「日本の自立と再生を目指す、闘う言論誌」を標榜する保守系オピニオン誌。「左右」という偏狭な枠組みに囚われない硬派な論調とスタンスで知られる。
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月刊日本2020年10月号

【総力特集】「安倍・亜流」菅政権の正体