菅義偉政権で言論統制はより陰湿化する危険性<評論家・佐高信氏>

メディアは安倍の疑惑を徹底追及せよ

―― メディアは菅政権の下でさらなる試練に直面する可能性がある。 佐高:最近、私は東京新聞の望月記者とともに『なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか』(講談社+α新書)という共著を出版しました。この本の売れ行きは非常にいいのですが、それは、それだけ国民の間に「安倍政権の下で日本のジャーナリズムは崩壊した」という認識が広がっているからだということです。  しかし一度崩壊してしまえば、そこから再生の可能性も出てくる。安倍政権の下で崩壊した日本のジャーナリズムが、菅政権の下で再生する可能性もないわけではない。菅の総裁選出馬会見では質問が打ち切られようとした時、記者たちは「逃げないでください!」などと怒号を上げたが、これはその兆候ではないか。  そもそも菅政権は森友・加計・桜など一連の〝爆弾〟も継承することになります。安倍政権が終わったからと言って、安倍の疑惑まで終わったわけではない。これらの問題は菅政権の下でも尾を引くでしょう。菅は出馬会見で森友問題について「すでに結論が出ている」と答えていたが、近畿財務局に勤めていた赤木俊夫さんの未亡人は真相解明を訴えています。赤木さんは自ら命を絶ったというが、実際には安倍政権に殺されたに等しい。このまま安倍政権の悪事を闇に葬ることはできない。

「菅自身」のスキャンダル可能性も

 それに加えて、菅自身のスキャンダルも出てくる可能性もある。IRをめぐる汚職疑惑はいまだに燻っており、捜査線上では菅の名前も浮上していると言います。  土地買収をめぐる新たな疑惑も膨らんでいる。政府は米軍の訓練移転候補地として馬毛島(鹿児島県西之表市)の買収計画を進め、昨年には官邸主導で地権者との間で合意に達していました。だが、当初45億円と見積もられていた買収金額は、実際の合意では160億円まで3倍以上も跳ね上がっていた。この点について政府は十分な説明をせず、新たな疑惑が生まれている。  メディアはこうした安倍の疑惑、菅の疑惑を徹底追及すべきです。それができない限り、日本のジャーナリズムが再生することはない。
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菅と竹中平蔵の関係にも注意せよ
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月刊日本2020年10月号

【総力特集】「安倍・亜流」菅政権の正体