毅然とBLM支持を示した大坂なおみ選手への日本特有の批判。大坂世代の若者はどう見たか?

2020 US Open - Day 13

Naomi Osaka (Photo by Al Bello/Getty Images)

 12日、全米オープンで2年ぶり2度目の優勝を果たした大坂なおみ選手。今大会、1回戦から決勝まで黒人犠牲者の名前が記された7枚のマスクを着けて登場したことが話題となった。こうした人種差別への抗議をいわば「テニスの試合中」というスポーツの場で行ったことについて、SNSをはじめとしたインターネットでは賛否の声が巻き起こった。

スポンサーやSNSからは批判の声も

 彼女のこうした一連の行動を「素晴らしい」「刺激を受けた」と賞賛する声がある一方で、否定的な意見も目立った。「スポーツ選手が政治的な立場を取るべきではない」というものだ。  彼女は8月27日に準決勝を棄権するという旨をTwitterで表明したが(後に方針を変え実際には棄権せず)、そのツイートには「暴徒擁護」や「意味不明」といった日本語のリプライがつき、15日にWWD JAPANが「【ニュース】大坂なおみ選手と「アディアム」とのコラボコレクションが発売」というツイートをすると、「テニスに政治を絡めてくるなんて不愉快」「不買運動」「日本人をやめてください」などのリプライがついた。こちらのリプライ欄は差別的なコメントが非常に多く、そもそもまっとうな批判にすらなっていないと筆者は思う。  また、毎日新聞の11日の記事「大坂なおみの人種差別抗議に国内外で温度差 スポンサーの微妙な事情」によれば、スポンサーからも「人種差別の問題と本業のテニスを一緒にするのは違うのでは」との声が上がっているという。

同世代の目に大坂なおみ選手の姿はどう映っているのか

 筆者は大坂なおみ選手と同じ1997年生まれである。筆者個人としては、同世代として世界に絶大な影響力を持ち、批判を恐れずに考えを発信できる彼女のことを尊敬しているため、今回彼女の行動について日本で浮上した批判に関しては疑問に思う点が多い。  というのは、今回彼女に向けられた批判は概ね「スポーツ選手は黙ってスポーツだけやってろ」「日本人なのに人種差別反対運動?なんで?」というニュアンスに聞こえてしまうためだ。筆者が思うに、今回の彼女の行動に「落胆した」と批判を浴びせている人々は、これまで「大坂なおみ」そのものではなく、日本の一部のスポンサーやメディアによって作り上げられた「すごい日本人選手」としての「大坂なおみ」を応援していたのではないかと思う。日本人記者が「今何を食べたいですか?」と毎回毎回くだらない質問をするのに対して、少しぎこちない日本語で「カツ丼」と答える、そんな「大坂なおみ」像に親しみを抱く……というか、勝手に自身のイケてない現実から目をそらすために「すごい日本人」というファンタジーを投影させていただけなのではないだろうか。  筆者に言わせれば、「人のことをバカにするのもいい加減にしろ」というところだ。彼女が人種差別の問題について考えを表明するのは今に始まったことではない。今回メディアでありのままの彼女の姿が大きく取り上げられたことによって、これまで彼女に抱いてきたイメージとのギャップに勝手に落胆しているだけではないのか。  では、大坂なおみ選手と同世代の人々は彼女のことをどう見ているのだろうか? 昨今は「若年層の右傾化」などとも言われているが、ネットで見られたような「勝手に作られたすごい日本人像」というイメージに拘泥されて批判するような声は彼女と同年代でも見られるのだろうか?  そう思って、筆者の友人十数名にインタビューを行ったみた。
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同世代からは肯定的な声
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