驚くほどのいいねの多さに、TikTokでも熱心に安倍政権支持者が活動しているのかと思いきや、コメント欄には比較的冷静な声も見られる。
「可愛いとこだけ見て決めるのだはだめだよ。調べればわかるけどヒットラーも可愛いとこ沢山あったからね」
「パッと見かわいいおじさんやけど、正直あんまり政治面の功績知らんのよな。人気でもポンコツな人おるだろうし、政治なんて知らんうちに軽々しく言えん」
もちろん、その多くは「ほんとだかわいい」と礼賛するコメント。しかもこの動画は「おすすめの動画」としてアプリを開いたときに最初に出る画面(自分がフォローしている人以外の動画が並ぶ)に登場するようになっていたのだ。
それにしても、この「いいね」の数は尋常ならざる多さだと言える。
ある20代のTikTokユーザーはこう語る。
「菅さんが令和の発表をしたときから『令和おじさん』として若い世代に認知されて、その頃から若い世代の中で好意的な意見はちらほらあったように思いますが、TikTokで見たのは9月4日の動画(前ページ上)がバズっておすすめ欄に出てきたときが最初でした。ただ、個人的には政治家がマスコットキャラクターのように扱われていることには気持ち悪さを感じます。政治家の政策を見ず、キャラクターだけがデフォルメされて独り歩きしていることへの違和感というか……」
TikTokユーザーの若い世代も冷静な視点で受け止めている……と思いたいところである。
ちなみに、TikTokについては、トランプ大統領が名指しでその情報漏えいの危険性などを批判し、米政府が使用禁止を検討している。しかし、8月3日の記者会見で、菅官房長官(当時)が、日本政府の対応としては明言を避けていた。
もしかして、自分が「カワイイ」とバズる場だけに、いたずらにトランプの尻馬に乗ることはできなかったのかも!?
<文/HBO取材班>