しかし、米国の対ベネズエラ特使を務めているエリオット・エイブラムスがある記者会見の席で「レプソルは米国に高い関心を持っている大企業だ。マドゥロが留まらせようとして圧力をかけるのは当然だ。しかし、うまく行くとは思えない」と述べたことがあった。この言及の背後にはベネズエラに留まればレプソルが米国に持っている採掘権は失うことになるというのを仄めかした発言であったのは明白だ。〈参照:「
Voz Populi」〉
米国の国土安全保障議会の補佐官マウリシオ・クラベル・カロネも5月の時点で米国がベネズエラからの撤退を迫っている企業の1社にレプソルが入っていることを指摘し、「それを満たさない場合は荒廃を導くような制裁が科せられることになる」とNTN24テレビ局で述べた。〈参照:「
OK Diario」〉
11月の大統領選挙でバイデン候補が勝利しても、対ベネズエラへの方針には現在と根本的に変化はないと推測されている。その意味でもレプソルのベネズエラからの撤退は近い将来実現されるものと思われる。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身