尖閣前原証言に踊らされた人たちと、それを拡散させたSNSによる「不作為」に潜む危険性

問われる「バズり」偏重のニュース抽出

 これから、産経新聞のように購読者数が減っていく紙媒体はさらに増加していくはずです。ブロック紙・中日新聞の発行部数の足元にも及ばない産経新聞の今の姿は、あらゆる新聞・あらゆる紙媒体の将来の姿です。「もう、自分から、『下野なう』っていわなくてもいいね。発行部数的にも経営的にも下野しきってるもんね」なんて嫌味を、産経新聞に言える紙媒体は存在しないはずです。そしてその紙媒体減少の原因であり、また、減少していく紙媒体の代替である、ネットニュース、とりわけ、Twitterに代表されるSNS経由のニュースは、さらにその存在感を増していくでしょう。  しかし、ネットニュースやSNS経由のニュースが、「ビュー数」「インプレッション数」「言及数」だけを根拠にしたあやふやなアルゴリズムで記事の取捨選択をしている限り、「報道の公正さ」を維持することは極めて困難にならざるを得ません。読者には「数が稼げる記事」だけが提供され続けるわけで、より扇情的より一面的な情報だけが、流布されてしまうことになります。  TwitterをはじめとするSNSの運営サイド、そして、ネットニュースの配信元には、いまの「数だけの判断」から一歩進んで「報道の公正さ」を意識した、記事配信を心がけてもらいたいものです。  そうでなければ、センセーショナリズムと扇情的な内容に目が眩んで一方的な情報に飛びついた前原誠司さんが以前やらかしてしまった「堀江偽メール事件」のような不幸な出来事が、社会のあちこちで多発する悲しい未来がやって来かねないのですから。 <文/菅野完>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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