国立大卒・平均以上に整った顔と年収。なぜ彼は「魔法使い」目前なのか

「女性特有のオチのない話を聞くのが苦手」

 女性になかなか理解してもらえないという大田原さんは、異性との関わり方にどんな障壁を感じているのだろうか。 「まず、女性独特のオチのない話を聞くのが苦手です。にも関わらず、僕のことを好いてくれるのは、オチのない話を一生話せるような女性ばかりなんです。たぶん、そういう人の方が僕みたいな”変人”を見て、ピエロ的な意味でエンタメ性を感じやすいんじゃないかな。それか、そういう女性は男性の内面より外見を大事にする人が多いんでしょう。  職場の女性とは仕事上の話も盛り上がるのですが、そういう話ができる女性は”まとも”だから、僕のことを異性として好きにはなってくれないんです」  仕事柄なのか、自分のこともしっかり分析しているようだった。話が合う人がいいという理想があるが、自身の性格との相性も含めると、フィットする人がいなかったということだろう。その思いが彼の中で「自分のことを分かってくれた上で、興味を持ってくれる人がいない」という自信喪失に繋がっているようだ。

お互いに関心を持ちあえる存在がほしい

 では、実際に29歳まで童貞でいることについてはどんな風に考えているのだろうか。 「もう、性行為への羨望のようなものはあまりありません。それよりも、その瞬間に対峙した時に自分が上手く振る舞えないこと、それを相手に受け入れてもらえないだろうということが絶望的に怖いです。  30歳になったら魔法使いになるね、なんて周りにも言われるけど、魔法使いになる前にセックスしたい、という気持ちはない。でも、彼女はほしいです。セックスなんてなくてもいいから、僕と一緒にいて笑ってくれて、お互いに興味関心を持ち合える異性の存在がほしい」  魔法使い直前になっても、満たしてほしいのは性欲よりも存在肯定感、承認欲求だということだ。性的に求められることよりも内面の肯定を望むのは、大田原さん自身が自分の外見については自信があることや、学歴があるということへのプライドもあるのかもしれない。  現在はマッチングアプリで女性に会ったりもしているというが、一回会ったらもう連絡が取れなくなる、という人も多いという。外見のアドバンテージがあっても、結局は内面も含めて総合的に判断される。イケメンだからって、恋愛的に楽して生きていけるとは限らないということだ。 <取材・文/ミクニシオリ>
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。
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