「家族で群馬に住みながら都内でも働ける」 群馬県が子育てしやすさ関東1位のワケとは
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、地方への移住に関心を寄せる人が増えている。
ブランド総合研究所が今年8月に発表した定住意欲度の調査では、東京都の人気は前年の4位から33位と大幅にダウン。東京には多くの企業が集まるほか交通利便性も高いものの、新型コロナウイルスへの感染リスクやテレワーク導入によって働く場所の制約が弱くなったことが人気の低下を引き起こしたと考えられる。
こうしたなか、子育て世代が熱い視線を注ぐのが群馬県だ。ミキハウスが2017年に実施した子育てについてのアンケートでは、群馬県が東京都や神奈川県をおさえ関東で総合1位にランクイン。同県自体も、子育てをしやすい環境をアピールし、他都道府県から若い世代を呼び込むことで加速する人口減を食い止めようとしている。
群馬県はなぜ、子育てをしやすいと思われているのか。同県で子育てをすることの魅力や他道府県から実際に移住した人の声について、群馬県生活こども課の齋藤一央さんに話を伺った。
群馬県は関東の北西部に位置し、面積は関東で栃木県に次いで広い。利根川の源流や尾瀬といった自然に恵まれており、レジャーに訪れる人も多い。また草津や伊香保、水上など温泉地としても有名だ。観光の場のイメージが強いかもしれないが、実は子育てがしやすい環境が整っている。
群馬県の魅力について、齋藤さんは次のように語る。
「群馬県には上越新幹線、北陸新幹線が走っており、都心へのアクセスに優れています。高崎駅から新幹線で大宮駅まで27分、東京駅まで50分ほどで行けます。群馬県にご家族で住みながら、基本的にテレワークで仕事をし、必要に応じて都内に通勤するという働き方が可能です」
東京への定住意欲度が下がったとはいえ、まだまだ東京一極集中の現状は変わらない。群馬県は埼玉県や東京都といった都市部と距離が近くアクセスも良いため、都心とある程度繋がりを保ったまま移住生活を満喫できるのは利点だろう。
子育てのしやすさを感じる指標は様々だが、保育園への入りやすさは多くの保護者にとって重要だ。2020年4月1日時点における群馬県内の保育施設の待機児童数は14人。東京都では2343人が待機児童になっており保活が熾烈を極めていることを考えると、復職したい保護者にとって群馬県での子育ては魅力的に映るはずだ。
冒頭で紹介した通り、保護者の間で「群馬=子育てがしやすい」との認知が広がっている。子供服ブランド「ミキハウス」を運営する三起商行株式会社が2017年に実施した「都道府県別 親目線による子育て満足度調査」から、詳しく見ていこう。
同調査は、「子育て支援策」や「医療体制」など8つの項目について、満足度を5段階で評価。群馬県は8項目中、「子育て支援策」、「コミュニティ」、「治安、安全・安心」、「自然環境」、「金銭面」の5項目でトップにランクインしたほか、総合1位に輝いている。つまり群馬県は、関東一子育てがしやすい県と多くの保護者が認識している。
特に「自然環境」は高得点で、都心よりものびのびと子育てができると喜ぶ保護者が多い。都心では土地に制限があるため、保育施設が狭いケースがある。都心ではマンションの1階に入居し、園庭がない保育園も珍しくない。
一方で群馬県では敷地にゆとりがあるため、のびのびとした環境で保育を行える。齋藤さんによれば、「園庭を素足で走り回る園や、豊かな自然を子どもの遊び場にするような保育園、幼稚園もある」という。
アンケートに回答した保護者からは、「市内に保育所、幼稚園が多数あり選べる。相談窓口がたくさんあってサポートが充実している」(28歳女性)、「医療費無料、待機児童もほぼゼロ。子育て支援カードがあり提携店も多い。子どもに対する地域の目も優しいと思う」(39歳女性)、「自然が多く静かな環境で、子育てしやすい」(35歳女性)といった声が挙がっている。
待機児童数は14人。保活の苦しさから解放される
「自然が多く静かな環境で、子育てをしやすい」と高評価
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