「家族で群馬に住みながら都内でも働ける」 群馬県が子育てしやすさ関東1位のワケとは

割引や塾入会が無料になる群馬独自の子育て支援制度

 また群馬県では「ぐんまちょい得キッズパスポート」という子育て支援策を設けている。県内にある約6000の協賛店舗で提示すると、購入金額から5%割引を受けられたり、塾入会金無料となったりする特典が得られる。同パスポートは妊娠中からもらうことができ、子どもが18歳まで利用できる。  また県内の自治体では、定住をはじめ一定の条件を満たす場合、住宅の取得にかかる助成金を出している。  群馬県は他道府県からの移住者を募るべく、現在『子育て@ぐんま』体験プロモーション事業」を行なっている。同事業で移住先として勧めている東毛エリアに位置する桐生市では、「きりゅう暮らし応援事業」を推進。桐生市に住宅を建築または購入し、その住宅に5年以上定住することなど一定の条件を満たせば、最大で「住宅取得金額の10%(1,000円未満は切り捨て)または200万円のいずれか低い金額を上限」として費用の助成を受けられる。  群馬県では東京都に比べて一住宅当たりの敷地面積は広いほか、住宅地の平均価格も都内に比べると大幅に下がる。賃貸物件に住む場合でも、都心よりも家賃は抑えられるため家計には嬉しい。 「県では市町村と連携して東京圏から移住された方に対して、移住支援金を支給しています。これは県マッチングサイトに掲載の中小企業に就職したり、起業支援金の助成を受けて起業された方へ、最大100万円を支給する制度です」と齋藤さん。 「群馬県の魅力はわかるけど、いきなり移住は不安」と感じる人のために、群馬県内ではお試し暮らし住宅を設けている市町村もある。現地で一定期間住み、暮らしのイメージを膨らませることができる。

都心では味わえない群馬での暮らし

 インタビューに応じてくれた齋藤さんは群馬県の出身。大学卒業後は都内で働いていた。しかし子どもの誕生をきっかけに「自然豊かな場所で子育てをしたい」との思いから、3年前に群馬県に帰郷後、県庁に入職した。 「群馬県に移住後の働き方ですが、私のようにそれまでの仕事を辞め、現地で転職するケースのほか、就農や起業する人もいます」と齋藤さん。 「ご家族で都内から群馬県内に引っ越し、マンションを購入した方もいますね。この方は普段はテレワークで仕事をしながら、会議や打ち合わせなど特別な場合には新幹線で都内にある会社に行くという暮らしを楽しまれています」  移住者の中には、「大自然の中で子育てをしたい」との気持ちから埼玉県から家族でみなかみ町に移住した人もいる。夫婦ともにアウトドアが好きなため、自然豊かな環境で川遊びやスキーなど、四季を楽しんでいる。  また、都内の待機児童数の多さから復職に危機感を抱き、保育園に入りやすい群馬県への移住を決めた人も。この方は群馬県内の保育園にお子さんを預け、都内まで新幹線通勤をしている。  齋藤さんは、「群馬県ではこれからも子育て世代の方を中心に、『群馬県に移住したい』と思っていただける環境を整えていくつもりです。引き続き、県のホームページ等で群馬暮らしの魅力を発信していきます」と意気込みを語った。 <取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。
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