安倍昭恵氏も関与していたオカルト神社の例祭に参列してみた。関連イベント役員には石破茂氏の名も

ホピ族の儀式?

 受付のテントを過ぎ、本殿につながる坂道を歩いていると、木で組まれたボードにイベントの様子や参拝者の姿を移した写真が大量に貼られていた。その中に、あの人がいた。
安倍昭恵氏

昭恵氏の左に立つ白髪の男性は、教祖(大宮司)の渡邉政男氏

 昭恵氏の左に立つ白髪の男性は、教祖(大宮司)の渡邉政男氏だ。  本殿前では、すでに例祭の儀式が始まっていた。参列者の席の一番後ろに案内された。参列者は60~70人くらいだろうか。椅子が品切れになってしまったらしく、私たち後ろの方の席の人には椅子の代わりに丸太があてがわれた。砂の上に立てた丸太は安定が悪いし、尻も痛い。神社のパワーで何とかしてくれないかと念じたが無駄だった。
神道風の儀式

1時間ほど続いた神道風の儀式

 儀式は神道風だった。神主の格好をした人々が小高い本殿の前で何かしているが、ここからは全く見えない。「かしこみ、かしこみ」などと祝詞(のりと)のような声が聞こえるだけだ。これが1時間近く続いた。  儀式が終わると渡邉氏が挨拶に立った。なんでも、この地は稲作発祥の地で、ここから東アジアやメソポタミアにまで稲作が広まっていったのだという。神様は田んぼに降りてくるので、稲作に取り組んで信仰を広めていきましょうといったような内容だった。特に煽るような調子ではなく、ごく普通の優しい口調。むしろ聞き取りにくいくらいだった。  最後に、ネイティブアメリカンであるホピ族の儀式をするとのことで、羽飾りがついた帽子にジーパン姿の男性がテーブルに置いたミステリーエッグ(タマゴのような形をした石)を前に何やらしていた。これもここからは全く見えない。  全ての儀式が終わると、境内を自由に歩き回れるようになった。ホピ族の儀式をしていた男性に話を聞いた。 「私の祖母がアパッチ族で、私はクオーターです。私自身は日本生まれの日本育ちで、今も日本に住んでますよ」  それはちょっとホピ感が足りないんじゃないかなあ……。
ホピ族の儀式

ミステリーエッグが置かれた台

 ミステリーエッグが置かれた台には、他にもアクセサリーや石などがいくつも並べられていた。信者が誰に話しかけるでもなくポツリとつぶやいた。 「この石はムー大陸で、こっちのはアトランティスですね」 ──えっ!? ムーやアトランティスの石なんですか! 「あ、いえ、大宮司様がそういうイメージで並べられたもので」  無駄に驚かさないでください。

Oリングテストで電磁波実験!

 境内をうろついていると、信者が親切にいろいろガイドをしてくれた。 「この神社は大昔からあったのが、なくなってしまったので、今この場所で再建しようとしているんです」  冒頭で触れたように不二阿祖山太神宮は、かつてこの地に天皇を頂点とする「富士王朝」があったと主張している。そこにあった由緒正しい神社が不二阿祖山太神宮だ。根拠とされているのは『宮下文書』と呼ばれる古文書で、偽史研究家の原田実氏はこれを「偽書」と評している。ちなみに富士王朝があったとされる200~300万年前は、アウストラロピテクス(猿人)がうろついていた時代だ。  不二阿祖山太神宮は2009年に宗教法人として認証された。当時は「天住の会(あすみのかい)」との名称で、所在地は山梨県都留市。「不二阿祖山太神宮」と改め、現在の場所に移転してきたのは2012年だ。教祖の渡邉氏は、かつて存在した(と主張する)富士王朝時代の不二阿祖山太神宮の後継者一族でも伝統的な神道の神職でもない。 「世界の宗教はここから始まっているんです。キリストもここを訪れて修行したんですよ」 ──えっ! キリストが!? 「そうです」 ──……。  言い切るだけで、特に根拠の説明や詳しい話はなかった。 三柱鳥居 次は三柱鳥居の下で電磁波実験だ。 「携帯電話を持って、反対の手の指で輪を作って人に引っ張ってもらいます」  ある程度引っ張ると、指で作った輪が外れる。 「次に、鳥居の下に携帯電話を10秒くらい置きます。その後で、また携帯電話を持って、指で作った輪を引っ張ってもらいます」  これは「O(オー)リングテスト」と呼ばれる、スピリチュアルやニセ科学の界隈では昔から有名な方法だ。条件を変えてこれをやり、指の輪が外れにくければ体のエネルギーが好ましい状態にあることを示すという。いかにも科学的根拠がなさそうな実験だ。  信者の説明に従って鳥居の下で実際にOリングテストをしてみたが、特に変化は感じられなかった。 ──いやあ、全然違いがわからなかったです。鳥居のパワーで携帯の電波が通じなくなるとか、そういうことじゃないんですね。 「そういうことじゃないです」  それでは、とばかりに信者が別のスポットに連れて行ってくれた。チラシに「ムー大陸の絵文字の1つ」と書かれていた、石で作られた文様の前だ。 石で作られた文様「神様の回転は左回りなので、左回りに腕を回してみてください」  言われた通り腕を回してみた。 「今度は、逆方向に腕を回してみてください。こっちの方が重たく感じるでしょ?」 ──ホントだ! 逆回転の時の方が腕が重い!  腕を回す方向を変えれば感覚が違うのは当たり前だが。  社務所でペットボトル入りの「神水」を購入(お布施500円ごとに1本もらえる)した際、「熊本地震で起きた奇跡!」と題するチラシが目に止まった。 〈震度7にもかかわらず落ちなかった御神札や花瓶…〉  という文章とともに、御神体護符を収めた神棚や花瓶の写真が掲載されている。確かに落ちていないが、神棚に載っているお札立ては倒れていた。 〈本震の時にできた隙間が地震の度に修復された!〉  いや、でも修繕はした方が……  御神体護符の値段はチラシのどこにも載っていなかった。
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教団関連イベントの名誉顧問に石破茂氏の名前も
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