伊勢谷友介逮捕で高まる大麻合法化の声。ポーランドの売人に合法化の意見を聞いたら意外な答えが返ってきた

突然、ハサミを手に取り……

 Gさんの話を聞いていると、たしかに欧米では大麻に対しての向き合い方が違うと感じさせられる。しかし当たり前だが、そこには負の面も当然ある。 「中には質が悪くMDMAなどが混じっているものもありますし、やはり乱用する人もいます。ほとんどの人は仕事のあとや、週末飲みに行ったときに一服するカジュアルなユーザーですが、家に引きこもって吸い続けるような常習者になってしまう人も。そうすると社会生活を送るのも、ままならなくなってきます」  また、筆者が取材でGさんの家を訪れたときも、ただならぬ光景を目にすることがあった。  例えば、大麻を購入しにくるやいなや、ソワソワした様子でハサミを手に取り、冷蔵庫にあったペットボトルを刻み始め、手製の「ボング」(喫煙するためのろ過装置)を作り始める客。記憶が混同しているのか、Gさんに10分おきに電話をかけてくる客……。たとえ大麻といえども中毒になれば、「リラックス」するはずが常に落ち着かない状態になってしまうのだ。

コカインの袋を舐める中毒者たち

コカイン  当のGさんも、「入荷待ち」の状態が長く続いたせいか、「どこかに残ってなかったかな……」と、取材中にキッチンの戸棚などを開け閉めするなど、やはり様子がおかしい。  そして、他の薬物にハマってしまう「ゲートウェイ・ドラッグ」であることも否めない。 「大麻はリラックスして落ち着きますが、眠くなってしまう効果も強い。そこで遊びに行ったときはハイな状態をキープするため、コカインを併用する人も多いです。ただ、コカインは中毒性も値段も高いので、いったんハマってしまうと経済的にも使用量的にも、自己コントロールが効かなくなってしまうのも早いです」  コカインは「手元にあれば、あるだけ吸いたくなってしまう」とGさんは語る。「割り勘」で購入したはずが量を誤魔化し始めたり、入っていた袋に残った粉を舐めたりと、中毒になると手がつけられなくなってくるのだという。 「何事もほどほどが一番ですが、特にドラッグはそのほどほどを見極めるのが難しい。日本は特に厳しいと聞きますけど、万が一合法化することがあるなら、付き合い方や自分への効き方など、まずはよく『学ぶ』べきでしょうね」  芸能人の薬物汚染などが報じられるたびに賛否両論溢れる大麻だが、光と闇、どちらにもスポットライトを当てていく必要がありそうだ。 <取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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