集客の活路は「アイドル店員」!? 窮地に立たされるパチンコ業界のもくろみ

スタッフのアイドル化は集客の活路になるのか

 SNSを利用したパチンコ店の宣伝は、SNSの普及初期から行われていたが、その多くは、新聞の折り込みチラシと大差のない「新台入替」等の告知か、または社内活動の報告のようなものが多かった。しかし昨今の「アイドルスタッフ」によるSNS宣伝は、明らかにそのような宣伝とは一線を画する。 ①圧倒的な発信力とコミュニケーション能力  パチンコ業界で注目されるSNSのアイドルスタッフらは、1万人以上のフォロワーを持つばかりではなく、その様々なコンテンツや流行アプリを駆使した発信やフォロワーたちとのリプライやコメントを通じたコミュニケーションを積極的に行い、自身の好感度ばかりではなく、店舗や企業の好感度の向上に努め、圧倒的なファンの支持を獲得している。  一つの投稿に1000以上の「いいね」が付いたり、一つの動画投稿の視聴数が1万を軽く超えたりすることも頻繁なことだ。冒頭の画像で紹介した「ミカド五反野店」のアイドル店員・あんこさんのTwitterも、パチンコと無関係のツイートにも1000以上のいいねが付くほど。  これらの発信活動をパチンコ店の接客業務の合間に行う。勿論、店側の協力があってこそのことであるが、アイドルスタッフ達はパチンコ店の宣伝の枠を越え、私生活や交友関係を積極的に公開することにより、ファン層の幅を広げ、SNS界隈のインフルエンサーと呼ばれる人たちと大差ない影響力を保持している。  なかには、パチンコ店のみならず地域商店街の集客のためのアイコンとしての役割を担うスタッフや、新卒採用・若手採用の広告塔として活躍するスタッフもいる。まさに八面六臂の活躍である。 ②フォロワーを集客に繋げ、ファン満足度をマネタイズする  アイドルスタッフの凄さは、フォロワーの多さを集客に結びつけているところである。  アイドルスタッフによるファンの獲得は、そのパチンコ店の集客に直結している。本来、パチンコ店の集客の要素は「出玉」か「立地」の二択であったが、今や「(スタッフの)○○ちゃんに会いに行くためお店に行く」というのが来店動機の重要なファクターとなっている。  パチンコ店の側でも、アイドルスタッフを目当てに来店した客との写真撮影等を許可しており、その写真を積極的にSNSに公開している。勿論、無料でだ。

アイドル店員グッズもしっかり販売してマネタイズ

 一方で、マネタイズの仕組みも忘れない。メインとなるのは賞品(景品)の提供である。  アイドルスタッフを抱えるパチンコ店の中には、アイドルスタッフをモチーフにしたオリジナル賞品を提供しているお店が少なくない。マグカップやTシャツ、缶バッジやスマホカバー等のキャラクターグッズを作成し賞品にしている。これが飛ぶように出る。いわゆる「換金」需要が圧倒的なパチンコ店において、特別な賞品を目的とした遊技が行われるのは、AKBのパチンコ台が登場した時に、パチンコ店限定でオリジナル曲のCDが賞品提供された時以来ではないのか。  パチンコ店のいちスタッフといえども、SNS上で人気を博す一部のスタッフたちは、パチンコ業界とその周辺では、圧倒的な存在感を放ちその価値を最大化している。アイドルスタッフを抱える一部店舗や企業では、アイドルスタッフの身辺上の安全確保やネット上での誹謗中傷の対策を真剣に講じ始めた。  SNSの発信がテレビや新聞のニュースになる時代。パチンコは嫌いでも、アイドルスタッフのことは好きになる人が出てくるのかも知れない。 <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
1
2