「ステロイド注射で筋肉増強」を謳うクリニックは倫理的に大丈夫なのか?

テストステロンは自分で出せる!「マッチョ」に近道なし!

 こうした医療機関がテストステロン補充を推奨し、流行になってきたのはここ数年来のことだ。しかし、ここまで露骨に「肉体改造に!」などというコピーで喧伝している医療機関を見るようになったのは、最近のことだ。  前出の谷口医師はこう語る。 「推奨する医師はテストステロン補充療法を実施して諸症状が改善しQOLが上昇した患者さんを診ているからでしょうか。しかし保険適用がない治療がこれだけ推薦されていることに違和感を覚えます。女性のHRTは乳がんや血栓症のリスクがあるのは明らかですが、保険適用の治療法です。  ある患者さんが『テストステロン補充療法を始めてから調子がいいのでやめたくはない。だけどお金が続かない』と言っていました。この患者さんに心血管系疾患のリスクの話をすると『高額でそんなリスクがあるのならやめる』と決断されました。その患者さんは運動を開始し、今も元気に過ごされています。適切な運動により天然のテストステロンが体内で増えることを先に知ってもらいたいと個人的には思っています」  そう、加齢によってテストステロン値が低下したとしても、適切な運動を行い、十分な睡眠を取り、ストレスを避けることで自分の体内で作り出すことは可能なのだ。クスリでそれを獲得するより、はるかに本当の意味で「健康にいい」し、「フィットネス」である。 「いい身体」を目指すのには、地道なトレーニングと栄養管理や休息こそが王道だということを忘れないようにしたい。 <取材・文/HBO編集部>
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