こうしたコロナ対策への温度差は、無責任な「要請」ばかりを強いる
政府や自治体の姿勢も影響しているのかもしれない。言わば
自己責任論の極北だ。
「小さいバーでも、
常連客だけになると店員もお客さんもマスクを外しているのでビックリしました。集まっている人の自己責任と言ってしまえばそれまでですが、お店のなかで広がったことに気づかないで、
外の人を感染させてしまう可能性もあるわけでしょ? やんわりたしなめても、酔っ払っていると聞く耳持たずで、呆れてしまいました」(スウェーデン人・女性・22歳)
欧米で新型コロナウイルスが蔓延し始めたころは、その感染者数の少なさから「
マスク先進国」を謳っていた日本。今は
その覇権にも陰りが見えているようだ。
個々人や各店舗、企業などがコロナ対策に全力を尽くすべきなのは、言うまでもないだろう。しかし、肝心の国全体を守るべき政府が、
コロナ対策を地方自治体や個人任せにしている感は否めない。こうした
国の対応の甘さにも在日外国人からは厳しい意見が飛び出した。
「私は
人生の半分をかけて、共産主義を生き延びてきました。それが、仮にも民主主義を名乗る国で、こんな光景を目にするとは思いませんでしたね。
メディアの質問には答えないし、
文書は捨てるか黒塗りで、
共産国と同じことが起きています。ニュースも一般の日本人も、それに対して誰もおかしいと言わない。自分でも
今この国で起きていることが信じられません」(ポーランド人・女性・60代)
新型コロナウイルスに
苦しみ、杜撰な対応に憤っているのは、我々日本人も同じだ。そうであるならば、在日外国人よりも、より数の多い我々が声をあげないことには、何も変わることはないだろう。本稿で紹介した意見について思うことがあるのならば、ぜひ身近な人と話し合ったり、社会に対しての意思表明をしてほしい。
<取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン