コロナで会社が休業したときに受け取れる休業支援金申請。会社が申請に協力してくれないときは?

休業支援金の申請に企業が協力してくれない

飲食店 2020年7月10日から、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」(以下「休業支援金」)の申請の受付が始まっている。  休業支援金とは、新型コロナウイルスの影響により休業させられたけれども休業手当を受け取れなかった中小企業労働者に対して、労働者の申請により、休業前賃金の8割を国が支給するというものである。新型コロナウイルスの影響で企業経営が悪化し休業手当を支払えない・支払わない企業が数多く存在するなか、国が直接労働者を救済しようというものであり、画期的な制度である。  しかし、筆者が事務局次長を務める首都圏青年ユニオンには、企業が労働者の休業支援金申請に協力してくれない、という相談が後を絶たない。

シフト労働者は休業支援金の対象にならない?

 休業支援金の申請の際には、労働者が申請する場合でも、事業主の指示による休業が発生したことを事業主が認める必要がある。事業主が協力しない場合でも申請を受け付けることになっているが、支給審査に遅れが生じるとされており、またそもそも事業主の協力なしに支給が認められるかは定かでない。したがって企業の申請への協力は重要であるが、この企業による協力を拒否されたという相談が寄せられている。なかでも多いのがシフト労働者からの相談である。  株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスのグループ企業の1つである、株式会社イートウォークは、イタリアンレストランの「AWkitchen」などを経営する飲食企業であるが、休業支援金申請への協力を拒否している。  同社で働くアルバイトのAさんは、従来はフルタイムで働いていたものの2020年4月以降シフトが0となった。4月から6月前半までは企業からの休業手当が出ていたものの、6月後半からは休業手当が打ち切られ、休業支援金の申請を行おうとした。しかし企業に申請への協力を求めると、「そもそもシフトが出ていない期間については、休業支援金の対象となる休業とはならない」と休業支援金申請への協力を拒否された。  シフト労働者の場合、最終的な労働時間・労働日はシフトによって確定されるため、1度シフトが出たのちに休みになった場合には「休業」と判断できるが、そもそもシフトが出ていない期間については「休業」は発生しえないということである。休業手当の支払い義務を免れるために企業がよく用いる理屈だが、その理屈が休業支援金申請への協力の際にも活用された格好である。  しかし、シフトが出ていない期間についても休業支援金は利用できる。実際、飲食店ユニオンでは複数の企業でシフト労働者の休業支援金申請を行い、全く問題なく受給している。株式会社イートウォークの主張は明らかに誤りであり、非常に悪質な申請妨害である。現在、首都圏青年ユニオンの飲食業分会である「飲食店ユニオン」は、休業支援金申請への協力を求めて同社と交渉している。
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厚生労働省も、シフトが出ていない期間についての休業支援金申請を認めている
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