スペインの「幽霊空港」、乗客がいないまま「繁盛」するようになっていた!

シウダー・レアル中央空港

2012年の閉鎖以降長らく廃墟となっていたシウダー・レアル中央空港
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空港繁盛の理由は「コロナ禍」!?

 筆者は2年前に乗客がいないのに繁盛しているスペインのテルエル空港を紹介した。テルエル空港は、要するに、使用しない飛行機の駐機場として、またメンテナンスや古くなった飛行機の解体を行って繁盛している空港だ。その後、他のメディアでもそれが紹介されたようだ。  テルエル空港が編み出した、空港を繁盛させるためのこの新しい発想が、テルエル空港から西の方に直線距離にして285キロ行ったところにあるシウダー・レアル中央空港でも採用された。そこもテルエル空港と同じ発想を取り入れて成長している。先月上旬の時点でテルエル空港に120機が駐機していたのに対し、シウダー・レアル中央空港では90機が駐機していると報じられたのだ。(参照:「antena3」)  コロナ禍の影響で、世界の航空会社ではフライトを減らしており、使用しない機材を駐機させておく必要がある。一般の空港では長期間の駐機はできない。そこで、駐機場としてのサービスを備えている空港が注目されているのである。

バブル時代に作られたシウダー・レアル空港

 4100メートルの滑走路をもっているシウダー・レアル空港もバブル景気で経済が潤っていた時に建設された空港だった。これが建設された目的はマドリード空港のサブ空港としてマドリード南空港という名称で活動するという主旨であった。マドリード南空港という呼び名が受け入れらないということになって、ドン・キホーテ空港という呼び名も考えられた。この地方はドン・キホーテの舞台になった地方だからである。結局この呼び名も関係当局の方で拒否された。  何れにせよ、この地域に空港を建設するという発想は所詮経済音痴の地元の官僚が考えたのであろう。何しろ、マドリードからシウダー・レアルまで210キロの距離がある。しかも、シウダー・レアルの人口は50万人。これでは空港として成り立って行かないのは明白であった。が、当時はバブル景気でどの自治州政府も地元に空港を持つことを望み、スペイン全土で空港建設ブームとなった。その結果、現在スペインには52の空港があるが、その半分は採算ベースに乗っていない。  結局、シウダー・レアル空港もそのひとつとなった。格安航空にアプローチしたが興味を誘わず、利用客は2009年に5万3000人、2010年に3万3000人と僅かであった。2011年を最後に、この空港からのフライトは無くなった。その後、2012年に閉鎖され、以降は長いこと「幽霊空港」として廃墟同然の状態で放置されていた。
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後追いでテルエル空港を真似したけど大成功
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