「排除」発言で頓挫した政権交代のチャンスがまた巡ってきた
旧民進党から「排除」された側が立ち上げた立憲民主党・枝野幸男代表
一方、合流で誕生する「新・立憲民主党」は、玉木新党よりも1桁多い150人前後の国会議員を抱え、順当にいけば党資金の多くを受け継ぐことにもなる(※)。
100名以上の国会議員を有する野党が誕生するのは、民進党が解体した2017年9月以来のことだ。次期総選挙で政権交代が狙える態勢が、再び整ったともいえるのだ。
※玉木代表は先の「プライムニュース」で、党資金を国庫に返納する可能性についても示唆している。
「日本維新の会」代表の松井一郎・大阪市長は8月14日、
「帰って来た民主党だ」と記者団に述べたが、
「よりパワーアップした、旧民主党規模の野党」という方が正確だろう。
例えば、「原発ゼロ」を掲げる立憲主導の合流であることから、エネルギー政策では原発推進の安倍政権との違いを鮮明に示すことができる。
「希望の党」代表だった小池百合子知事の「排除」発言で逃した、政権交代のチャンスが再びめぐって来たといえる(
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』参照)。小池知事が2017年9月29日の会見で、解党した旧民進党国会議員を全員公認するのではなく、憲法改正と安保法制容認を“踏み絵”にして「排除します」と宣言したことで、政権交代の気運は萎んでしまった。
「希望の党」の代表をつとめていた小池百合子知事
排除された議員は立憲民主党を立ち上げて野党乱立を招いた。「排除」発言をすぐに撤回して民進党の全議員公認へと軌道修正していれば小池政権誕生の可能性は十分にあったのに、政権交代の絶好のチャンスを逃してしまったのだ。
「排除」発言で四分五裂した旧民進党が再び大きな塊になるのに3年近くを要したが、
再び安倍政権との違いを明確に示して、政権交代が狙える態勢が今回の合流で整ったともいえるのだ。
玉木新党は新・立憲民主党と選挙協力、政権交代を目指すか?
希望の党は、2017年9月29日の「排除」発言によって政権交代の絶好のチャンスを逃した
しかも3年前の2017年総選挙では、小池知事率いる「希望の党」と排除された側の「立憲民主党」が選挙協力をすることはなかったが、今回は違うようだ。玉木代表は先の囲み取材で筆者の質問に対し、
「玉木新党は合流新党(新・立憲民主党)と選挙協力をしていく」と明らかにしたのだ。
――(BSフジの番組でキャスターから)「(残留国民民主党=玉木新党と)維新との親和性」という話が出ていたのですが、維新寄り・政権補完路線に向かうのではないでしょうか。
玉木代表:(路線は)まったく変わりません。政権交代を目指しているので、新・立憲民主党とも協力できるところはしっかりと協力をしたいし、選挙協力もしていきたい。
――維新と選挙協力をすることはないと。
玉木代表:今はないです。
「今はない」という発言は、
「将来的には維新との選挙協力はありうる」という可能性を否定するものではないが、名実ともに
「政権交代を目指す」という路線が不変であれば、2017年総選挙での野党同士討ちは回避されることになる。
8月19日の国民民主党の両院議員総会で立憲民主党との合流が正式に決まった。合流しない議員(残留組)が分党することを念頭に、党資金分配などを円滑かつ友好的に手続きが進むような対応を、玉木代表と平野幹事長に一任することも決まった。新・立憲民主党の規模をはじめ、国民民主党内の合流組と残留組の割合や、党資金の分配結果がどうなるかが注目される。
<文・写真/横田一>