photo by よっしー / PIXTA(ピクスタ)
コロナ禍に伴う政府の緊急事態宣言による営業自粛に加え、マスコミと世間の厳しい非難により深刻なダメージを受けたパチンコ業界であったが、その一方で本来であれば得られるはずのなかった有用な「果実」も手に入れた。
旧規則機の設置期限延長という「果実」である。
そしてこの「果実」が今、パチンコ業界内における火種になっている。
まずはパチンコ業界に関わる基本的な情報について端的に説明する。
遊技機の「
設置期間」について。
パチンコ機もパチスロ機も法的な設置期間は3年間であり、3年経過時に改めて申請を行い承認されれば更に3年間設置期間が延長される。6年間というのが、法律が許す最大期間である。
6年経った遊技機はパチンコ店から撤去されなくてはいけない。
次に「
旧規則機」について。
2018年2月。ギャンブル等依存症対策の一環として、遊技機の技術的な規格を定める「遊技機規則」等が改正された。目的は射幸性(≒ギャンブル性)の抑制である。パチンコ業界では、この改正を境に、以前の規格のものを「旧規則機」、改正内容に沿った規格のものを「新規則機」と呼んでおり、旧規則機については、
本来であれば2021年1月までにすべて撤去されるはずであった。
しかしコロナ禍により、国家公安委員会は改正した規則を更に改正し、
旧規則機から新規則機へ入れ替える経過措置期間を、更に1年間延長したのだ。
警察庁の松本光弘長官はこのことを以下のように説明している。
「ぱちんこ等の遊技機については、平成30年2月に風営適正化法施行規則等を改正して、遊技球等の獲得性能に関する遊技機の基準、いわゆる出玉基準の見直しを行い、それに伴い、一定の経過措置期間を設けたところです。今回の改正は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、改正後の基準に沿った遊技機への入替を経過措置期間内に行うことが難しくなっており、また、入替作業に伴う感染リスクも懸念されることから、経過措置期間の1年延長を行うものです」(2020年5月14日、国家公安委員会委員長記者会見より)
これが、コロナ禍がパチンコ業界にもたらした「禁断の果実」である。