賛否両論「学園祭のオンライン化」は誰のためのものか。

2019年の早稲田祭

2019年の早稲田祭

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、いくつかの大学が学園祭のオンライン化を決めている。2日間で毎年20万人以上が来場する日本最大規模の学園祭・早稲田大学の「早稲田祭」も、オンライン形式で開催されることが発表された。なぜオンライン化してまで学園祭を断行するのか。現役学生でもある筆者が、運営スタッフ代表に取材した――。

開催を喜ぶ声の中、多くの疑問の声も……

 今年の早稲田祭はオンライン形式で行う――。運営スタッフが公式Twitterでそう発表すると同時に、WEBサイトには、「日本一の学園祭」「オンラインでしかできない祭り」などの派手な文言が目立った。YouTubeでスタイリッシュなPVが配信され、オンライン学園祭を盛り上げようと大々的なアピールが行われた。  運営スタッフは「例年のオフラインの代替を目指すのではなく、日本一の学園祭として新たな早稲田祭を目指しております」としており、学園祭をオンラインで開催することを前向きにも捉えているように見える。  一方、公式Twitterの発表を見て、筆者の知る学内のある企画サークルのメンバーは肩を落とした。 「オンラインでの学園祭が、そんなに盛り上がるとは思えない。運営スタッフは学園祭が中止になってしまうと、新入生が組織を抜けたり、上級生が就活で使うネタが無くなってしまうからどんな形であれ開催せざるを得なかったのでは。頑張っているのは分かるが、自己満足にも見えてしまう」  学生からは、オンラインでも開催があることに期待をする声がある一方、「延期という形でオフライン開催を目指せなかったのか」「具体的に何をやるのか伝わってこない」と懐疑的な意見もSNS上では目立つ。

オンライン学園祭の決定はあまりに唐突だった

 また、別のサークル代表者からはこんな不満も。「早稲田祭は大学主催ではなく、運営スタッフがサークルから預かった賛同書に基づいて開催するものです。しかし、事前相談がないばかりか我々サークル代表者はオンラインでの開催をTwitterで知りました。いくらなんでも寝耳に水、事前にメールで通告くらいは欲しかったです」。 「運営スタッフはオンライン化の経緯として、オフラインでの開催を目指したが大学との協議の結果オンラインになったと言っています。しかし、協議の内容はなんなのか、大学からどんな指示があったのかについては一切説明してくれません。せめてプロセスくらい教えて欲しいです」  今回のオンライン学園祭の開催は、運営スタッフの独自の判断ではなく、大学とギリギリまで協議して決められたものだ。しかし、早稲田祭はあくまでも大学から独立した運営スタッフが開催している。経緯がはっきり分からないまま唐突にオンライン学園祭と言われ、当惑している学生も多そうだ。
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運営スタッフ代表に聞く、オンライン学園祭とは
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