賛否両論「学園祭のオンライン化」は誰のためのものか。

運営スタッフ代表に聞く、オンライン学園祭とは

 今回、早稲田祭2020の運営スタッフ代表の福島さんに話を聞くことができた。大学生として感じた疑問や、サークル関係者から聞いた疑問などを直接ぶつけてみた。 ――オンラインで学園祭を行うとなると、従来のオフラインでの学園祭の盛り上がりをどう再現するのかが課題になりそうです。
福島陽さん

福島陽さん

「オフライン学園祭の魅力を引き継ぎたいとは考えていますが、実際にその熱気を再現するのは限界があります。そのため、オフラインを模倣するのではなく、オンラインならではの魅力がある祭りを目指していきたいと思っています。  オンライン化の意外な副産物として、今年は早稲田祭に初めて参加する団体が増えました。例えば、展示を行うサークルでは、物理的に準備が楽になったことによって、参加のハードルが下がったのではないかと思います」 ――オンライン学園祭、といっても具体的なイメージがしにくい人も多いと思います。どんな企画を想定していますか? 「まだ参加団体がどのような催しをするのか確定していないのですが、『学園祭当日に企画者が大学内の教室を借りて配信を行う』、『制作物をネット上に発表する』などの形を想定しています。例えば、ダンスサークルなら大学の教室内で踊っている様子をYouTubeでライブ配信する、出版サークルなら創作物をpdfなどで公開するなど、いろいろな形があると思っています。観客は入場できませんが、演者は大学に来られることになっています」

オンライン学園祭の実現に向けてはまだ手探り状態

――学生への取材では「せっかくのオンラインなのに、場所と時間を限定して配信するのはもったいない」「パンフレットの広告収入がない中、財源はどうするのか」などの疑問も聞かれましたが、どう思われますか? 「全般的に言えるのは、参加団体が決まらないともろもろ不確定ということです。オンラインでどう企画を作っていくかも、それぞれのサークルとこれから話し合いながら決めていく予定です。  また、昨年までパンフレットの広告収入で賄っていた予算は、ウェブ広告などで集める予定です。毎年徴収しているサークルからの協賛金も財源ですが、今年の金額はまだ決まっていません。運営スタッフは単年度組織なので赤字を次の年に回したりはせず、その年に集められる予算内でやりくりすることになっています。」 ――サークル関係者からは、オンライン化が決まったプロセスの説明がないことに不信を抱く声もあります。 「延期という選択ができなかったのは大学側の事情によるものです。大学との協議の内容は、センシティブな部分なので回答は控えさせていただきたいです。運営スタッフは大学から独立した組織なので、大学側にこちらの思いをきちんと伝えて交渉しているものの、原則的に大学の方針に従うようにしています」 ――最後に、福島さんが考える早稲田祭の意義とはなんでしょうか? 「早稲田祭は、早大生が全力を尽くしている『早稲田文化』を発表し、みてくれた人に何か力を与える場だと思います。運営スタッフが作っているのはあくまで箱。それ以上の意義は参加団体が作っていくものです。  しかし、運営スタッフはその場所を作るものとしての責任を果たしたいと思っております。また、箱としての学園祭は今までは変わらない部分が多かったと感じていますが、今回のオンライン化で形態がガラッと変わったことは、各々が学園祭ついて考える機会になるのではと思います」
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「オフライン学園祭中止、オンライン学園祭開催」は妥当か
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