20代、30代のサバイバーが告白!体の不調に加え差別や誹謗中傷も……コロナ後遺症の悲劇
コロナ・サバイバーのなかには、一度はウイルスが陰性化したにもかかわらず、今なお、その苦しみから完全に解放されていないという人も多い。厚生労働省は8月から追跡調査を始めると発表したが、果たして「コロナ後遺症」とはどのような苦痛を伴うのか? 今、当事者たちの生の声を聞いた。
新型コロナウイルスの感染者が増えるに従って、回復者の数も増加している。日本は8月13日の時点で、感染者が5万1283人なのに対して、回復者は3万4888人に上るが、手放しで喜べない報告も。世界中から「コロナ後遺症」を疑う声が続々と上がっているのだ。
たとえば、イタリアのジェメッリ大学病院が退院した143人の患者を追跡調査し、7月に発表した報告書によると、新型コロナから回復した後も、実に87.4%の患者が後遺症の苦しみを訴えているという。最も多い症状は疲労で53%、次点で呼吸困難43%、関節痛27%、胸の痛み22%が続く。ほかにはせきや嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、目の充血、味覚障害、頭痛といった症状を訴える人もいた。(調査は複数回答)
「5月末に退院してから、不整脈や血管の痛み、息苦しさなどが続いています」と打ち明けてくれた歌舞伎町のBARに勤務する浅丘みきさん(30代)も、コロナ後遺症に今も悩まされている一人だ。
「当初は後遺症が話題になってなかったし、食欲はあったので楽観視していたんです。でも、全然よくならなくて……。特に不整脈がひどくて、体調が悪くてダルいのに、心配で夜も眠れません」
6月頭にホルスター心電図で検査したところ、浅丘さんは医師から正式に不整脈だと診断された。
「ただ、コロナ後遺症を疑っても先生は相手にしてくれなくて。『前から不整脈だったんじゃないですか』って言うんです」
「スポーツジムで体を動かすのが好き」だという浅丘さんだが、不整脈に苦しむ今、激しい運動するのが怖くて、ジムには通えていない。血管や胸の痛みも続いており、職場復帰の目処も立っていないという。
担当医の心ない対応に浅丘さんは怒り心頭だが、自治医科大学附属さいたま医療センターで集中治療を担当する讃井將満医師は、「後遺症を持つ方々への長期、および多面的な支援体制をつくることは急務です」と指摘。「通常、後遺症の研究には2~5年かかるので、コロナの後遺症に関してはまだわからないことが多い」と、現時点では、医師として断言できないジレンマを明かした。
「実は私自身も、4月の段階では『後遺症が疑われるのは重症患者だけで、軽症・中等症患者には残らないのではないか』と、甘く見ていました。そもそも重症患者は、強い全身の炎症(サイトカインストーム)と血栓症による臓器の血流不全、新型コロナの感染によって生じる臓器自体の多臓器不全の回復に時間がかかることから、身体機能低下、心の機能低下、脳機能低下といった後遺症が、高頻度で起こると考えていました。これは集中治療後症候群と言われ、新型コロナ以外の重症感染症・重症肺炎でも起こります。新型コロナ特有の後遺症として考えられるのは、脳梗塞や手足の塞栓症といった各種の血栓症と、脳への感染(脳炎・髄膜炎)による麻痺、脳機能低下といった症状です」
しかし、讃井氏の予想とは裏腹に、回復したはずの軽症・中等症患者からも、新型コロナの後遺症と見られる症状に悩まされている声は日増しに増えている。
「軽症・中等症患者の中には、治ったと診断された後でもダルい、疲れる、息苦しいなどの症状が残る方がいます。これは酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す肺機能が元に戻っていないのと、筋力の低下が原因だと考えられます。また、熱が出る、頭痛、胸が痛いなどの後遺症は、まだコロナの感染が続いている可能性が高い。あるいは峠は越えていても、完全に治るまでにまだ時間がかかっている状態だと考えられます」(讃井氏)
軽症者や若者も油断大敵!誰がなってもおかしくない
「まだわからないことが多い」断言できないジレンマ
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