美しくない男を派遣する革新的サービス「レンタルぶさいく」を直撃した

「自分はパワータイプのぶさいく」と語るレンタルぶさいく氏

4万以上の「いいね」を獲得したある男性のツイート

 7月中旬、ある男の呟きがツイッターを席巻した。  「【レンタルぶさいく】と申します。合コンの負け役、社交場の引き立て役、イケメンだと緊張してしまう女性のデートの練習相手、ぶさいくでも着こなせる服のファッションモデル等なんでもお待ちしております。交通費のみで伺います。ぶさいくいじりはOKですが過度ないじりはNGでお願いします。」(原文ママ)  このツイートは一夜のうちに電脳の海を駆け巡り、4万以上の「いいね」がつくこととなった。レンタルぶさいくとは、「ブサイク」な容貌をした人間が、ユーザーが必要とする場面に出張するといった出張型サービスである。  このサービスを開始したレンタルぶさいく(以下、ぶさいく)とは一体、何者なのか? 本人を直撃してみた。「レンタルぶさいく」を始めることになったきっかけとは何だったのか。  「『ブサイクばかりで会社作ったら面白いんじゃね?』と仲間内で話しているときに、じゃあ具体的に何をするのかということになり、反射的に『レンタルぶさいく』というアイデアが出てきた。これをコンテンツ化したら面白いのではないかと思い、試しにサービスを開始してみたというのが経緯です。サービス自体は面白い自信があったのですが、『いいね』が1000程度付けばいいかと思っていました。注目されるコンテンツになる自信はありましたが、予想以上でした」  

大学時代、親しかった女性の一言が今に繋がる

 ぶさいく氏が自身の容貌を売りにしようと考え至るまでには、いくつかの段階がある。そのうちの一つが、大学時代の経験だ。  「電車で見ず知らずの人に写真を撮られる等のことも珍しくなかったので、自分の顔がおかしいことには早くから気付いていました。そんな中、大学時代のサークルに、僕にやたらと話しかけてくる新入生の女子がいたんです。そうやって仲良くなって二か月めあたりに、ついに『ご飯いきませんか?』と誘われたのですが……」  「もしかして、俺のこと好きなのかな」と淡い期待を抱いたぶさいく氏。だが……。  「その子は相貌失認という、人の顔が全部同じに見える脳機能の障害を持っていたんです。卒業写真を見ると気持ち悪くなっちゃうとかで。しかし、そんな中で僕の顔だけ他と違って見えたので、安心して話しかけられたのだと言っていました。ちなみに彼女はその後、ほかに彼氏ができました」  自身が「明らかにブサイクであることを認識」したのはその少し後だった。  「25歳で初めての彼女ができたときです。それまで自分をブサイクだと思ってはいなかったし、それが原因でいじめられたこともないのですが、何故かそのときに『もしかして今まで彼女ができなかったのはブサイクだったからなのでは。そして、周囲も俺にブサイクだと言えなかったのでは』と極端な思考に陥りました。そこから、ブサイクに関する諸問題について四六時中考えるようになったんです」  そうやって思索を重ねた結果、ぶさいく氏は一つの結論に辿り着いた。  「ブサイクだと、普通に生きてたら損することのほうが多いですよね。恋愛はもちろん、就職にだって『顔採用』があるのは否めない。その時から、ブサイクをさらけ出すことで楽しいヤツだと思われる生き方に変えた。この世界をひっくり返すために、ブサイクの需要に着目するようにしたんです」
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ブサイクが必要とされる場面は、必ずある
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