届かないメール返信に管理部門からの催促頻発。リモートワークで社内の空気が険悪に……

社内メールで「督促」をする羽目に

 憤慨した事務担当者は、督促を出すことにした。メールのタイトルを「【督促】営業実績報告書の提出」というようにして、必ずメールを見てくれるように【督促】を強調した。  しかし、ここからはイタチごっごになってしまった。それでも提出してこない営業担当者に対して、タイトルを「■■■督促■■■営業実績報告書の提出■■■○月○日最終締め切り■■■」とさらに強調。これを見た営業担当者は、提出しようというモチベーションが高まるどころから、タイトルの強烈さに恐れおののいたり、なかには不快さを感じて手が止まってしまうこともある。  とうとう事務担当者からは、「■■■最終連絡■■■営業実績報告書の提出■■■○月○日23時59分59秒までに提出なき場合はゼロで入力します■■■」というタイトルのメールが発信されるに至り、営業担当者からは事務担当者の上司にクレームが届くという亀裂が生じてしまったのだ。

挨拶や声かけをどう補うか

 従来は出社すれば挨拶するし、お互いに気軽に一声かけあうことも日常茶飯事で、締切や多少の遅れはお互いに把握していて許容し合っていた。しかし、そうした声かけがなくなり、一斉メールでのやりとりになってしまったことで生じてしまったのが、コミュニケーションの欠落とモチベーション低下だ。   営業担当者は、一斉メールがきて、それに返事が出せなかったとしても、「一日遅れる」と電話やメッセージ機能で伝えておけば、こうはならなかっただろう。事務担当者も一斉メールのタイトルを過熱させる前に、従来は立ち話で実施していたことをメールやメッセージ機能で行うことは手間かもしれないが、ひと手間かけて個別に連絡しておけば、ここまで断裂することはなかったとふりかえっている。  モチベーションを高めるために工夫していることを聞くと、「挨拶をする」「気軽に声かけをする」ということを挙げる人が多い。在宅勤務が常態化するなか、これらの機会をメールやメッセージ機能で補うことが、コミュニケーションとモチベーションの低下に歯止めをかけることに役立つに違いない。  質問:モチベーションを高めるためにどのようなことをしているか  「モチベーションを上げよう、上げよう」と思っても、モチベーションが上がりません。自分のモチベーションを高めるために、あるいは他のメンバーのモチベーションを高めるために、世のビジネスパーソンはどんなことをしているのでしょうか?  回答:モチベーションを高めるために、さまざまな工夫がされている  「自分のモチベーションを高めるために、どのようなことを心掛けていますか?」「相手のモチベーションを高めるために、何をしていますか?」と聞くと、下のような答えが返ってきます。また、相手のモチベーションを高めることをしていると、自分のモチベーションも高まるという人がほとんどです。  <モチベーションを高めるための工夫例>  ・挨拶をする ・気軽に声をかける ・褒める  ・感謝する ・その仕事の行き着く先をイメージする  ・体を動かす ・仕事を休む ・旅行する 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第202回】 <取材・文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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