ガラパゴス諸島の水域に生息している30種類のサメの一部は消滅の脅威にさらされている。エイも同様だ。今後も中国から漁船団が押しかけてくると、これら魚類の消滅が加速化されることになる。
シュモクザメの雌は産卵のためにガラパゴス諸島から中央アメリカから南米大陸の方に向かうがその行程で中国の漁船団に捕獲される可能性がある。ジンベイザメの1匹から音波を発信させてトラックできるようになっていたが、それも5月には受信しなくなった。中国の漁船に捕獲された可能性があると見られている。(参照:「
MONGABAY LATAM」)
エクアドル当局では今のところ彼らを監視する以外に手段はないとしている。また、ペルー、チリ、コロンビア、パナマと協力して排他的経済水域のすぐ傍で実施される漁についてもその禁止水域に一番近い国が管理を行う権利を確立するなど何か生態系の保護のための手段を協力して模索していく考えだ。
ところが、その一方で中国は間接的にエクアドルに圧力をかけている。
先月もエクアドルから中国に輸出した小エビにコロナウイルスが検出されたとして輸入に規制を加えたという。(参照:「
El Pais」)
この影響でエクアドルからの他の商品の輸入についても検査に時間がかかるようになっている。
これも中国政府のガラパゴス諸島沖合での中国漁船による漁へのエクアドル当局の干渉を牽制するためのものだと見られている。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身