「ピラミッド概念」に「ワイカツ」??リモート時代を乗り切る行動と対話の黄金律 

 ジャンルを問わずプロフェッショナルな人は、「鍛錬を1日怠れば、取り返すために3日要する」と異口同音に言います。ビジネスのプロと言えるビジネスパーソンにとっても同じことで、在宅勤務が続くなど新しい働き方が浸透するなか、対人スキル発揮の機会を損ない、気づかぬうちにスキルを劣化させているかもしれません。

ひとつの型で捉えてスキルを高める

 リモートでも修得しやすく、発揮しやすいスキルを特定できれば、それに越したことはありません。今回は、そうしたスキルの使い手である、味の素株式会社の松本征之氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります。
ピラミッドのイメージ

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山口博氏(以下、山口):「松本さんには、私が実施しているリーダーシップスキルやビジネススキルを高める演習プログラムに、対面でも、リモートでも参加いただきました。人それぞれで異なるモチベーションファクター(意欲を高める要素)を見極めて、それを梃にしてコミュニケーション力や、合意形成力をその場で発揮するプログラムで、高いレベルのスキルを発揮してくださいました。いつ頃から、スキル向上に取り組み始めたのですか」 松本征之氏(以下、松本):「30歳過ぎに労働組合の中央執行委員になったときに、会社の上層部との会話機会が一気に増え、その後、人事部で採用と教育を担当した際にもタスク管理や折衝力を高める必要性を痛感したことが契機になっていると思います」 山口:「どのようなスキルを高めることに注力されたのですか」 松本:型を意識してきました。タスク管理の型思考の型読書の型など。自身のスキル不足で仕事に追われた人事部時代に、ある先輩が様々なスキルの型を授けて下さったのがキッカケですが、型を持つことで今度は自分が人に手渡すことができるようになっていったように思います。また、『理解・共感・応援モデル』と呼んでいる、自分が進めたいことをわかってもらい、いいねという共感に持ち上げ、さらに応援行動までを引き出すようなアプローチを考えては実践してきました」 山口:「なるほど、ひとつの型に捉えて取り組むと、頭でわかるだけではなくて、実践しやすくなりますね。業務山積のなか、また多様なメンバーを巻きもうとすればするほど、ストレスが溜まるものではないでしょうか」 松本:「思い起こせば、たしかに、ストレスを強く感じていた時期もありました。しかし、経験を重ねるうちに、悩んでも解決しないことは悩まない、今の優先ではないタスクは明確に意識して横に置いておく……このように取り組むうちに、ストレスが溜まりづらくなったように思います。以前は、意識的にやっていましたが、今はさほど意識していません」 山口:「マルチタスク管理の演習結果からは、生産性の高い人は、その期間にやらなくてもよいタスクを除外してUnder the Tableに置く、他の人に依頼するタスクは自分はWaitingするだけで気にしない残ったタスクを自らActionして集中して取り組む……こうしたことを実施していることがわかってきました。松本さんは、まさにそのモデルを示していらっしゃるように思います。そもそも型を身につけてパフォーマンスを発揮するという発想はどこから生まれたのですか」

対話を円滑にする「ピラミッド」

味の素株式会社名古屋支社次長・松本征之氏

味の素株式会社名古屋支社次長・松本征之氏

松本:「『人間は、自分が本気でやりたいと思うことにしか力は出ない』と考えているのです。『とにかくやれ』のトップダウンだけでは、受け手の本気は出ない。リーダーは個々人の特性や置かれている状況を踏まえ、メンバーが自発的に考えて行動し、本気で仕事に向かう状態に導くスキルが必要だと考え、その実践に努めています」 山口:「具体的には、どのようなことに取り組んでいらっしゃるのですか」 松本:「現在の職場で、ピラミッドの概念と、Why活(ワイカツ)の浸透に努めています。ピラミッドの概念とは、対話やメールの際に、まず結論を延べ、それを支える理由1、2、3で表現する、論理思考の基本型です。ピラミッドの頂点に結論、底辺に、その理由1、2、3を配置するイメージでコミュニケーションしようというものです。この型が浸透すると、対話が効率的で発展的になります山口:「難しいことを難しく言う、理論や学説を説明することを好む、企業の幹部は少なくありませんが、実に簡単で、それも三角のピラミッドをイメージするように、まるでタクトをふるように、コミュニケーションしやすくなる、すばらしい方法ですね」 松本:「よい型を、多くのメンバーが日常的に使える状態にならなければ意味がありませんので、型は簡単であればあるほどよいと思います」
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リモート時代にこそ必要なビジネススキルとは
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