新型コロナで大打撃。五輪開催も先行き見えぬ中、観光業界が「それでもインバウンド」に希望を託さざるを得ない理由

観光業者の7割が前向き。五輪中止も想定済み

「政府は開催するという方針ですが、観光事業者としては中止も想定し、どっちに転んでもいいようにしっかり対策を立てておくことが大事だと思います。常に最悪の状況を想定して、それに備えるということが今回のコロナ騒動から学んだ最大の教訓だと思います。自然災害も含め、今後さまざまな面でリスク管理をしていくことがより一層大事になると思います」  現状では観光業者も苦境にあえいでいるが、それでも前を向いているという。 「私どもで550の観光事業者に、コロナ禍を経て『インバウンドの取り組み意欲に変化はありましたか?』というアンケートを行いました。すると『今までと変わらない』と答えた方は50%ほど。さらに18%は『より積極的に行う』と回答しています。7割近くの事業者が以前と変わらないモチベーションを保っているんです。そもそも、国がインバウンドに力を入れ始めたのも、少子高齢化で人口がどんどん減っていく中で国内マーケットを見ても明るい兆しがなく、海外の方々に来ていただくことによって活性化していこうという意識が根底にありました。そのため、国内だけを見ていても今までの繰り返しになってしまう。中長期的に見ればインバウンドがとても重要だということは多くの観光事業者が考えていると思います」  コロナ禍が終息し、外国人観光客で賑わう光景を再び目にする日は来るだろうか。 【村山慶輔氏】 株式会社やまとごころ代表取締役。’07年にインバウンド観光に特化したサイト「やまとごころ.jp」を立ち上げ、各種観光関連情報やコンサルティング等を提供 <取材・文/別冊SPA!編集部>
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