コロナ禍で一層拡大する「貧困」。解決を阻む「自己責任論」と「メディアの罪」

できることは「SNSで声を上げること」

 事態は膠着状態だが、苦肉の策として吉川氏は「SNSで声を上げること」を勧める。 「検察庁改正法案への抗議など、最近はSNSの声が政府に届くようになりました。自身の窮状や国への不満をSNSで訴えれば、多くの共感を呼んで国を動かせる可能性があります。伝わるまで少し時間はかかりますが、スマホひとつでできる対策です」  また、生活に困ったら遠慮せずに行政の支援を仰ぎ、社会から孤立しないことも大切だと話す。 「貧困に陥ると、羞恥心や周りに心配をかけたくないという思いから、誰にもSOSを出せずに周囲と距離を置いてしまう傾向があります。NPO法人や社会福祉士など、専門家に頼る選択も視野に入れてほしい」  各自治体の「社会福祉協議会」や、民間のNPO法人が新型コロナウイルス関連の支援策を実施しているケースもある。先が見えない中では、リソースを最大限に活用して乗り切るほかないだろう。 SBJ01【吉川ばんび氏】 ジャーナリスト。貧困や機能不全家族の問題について、自らの生い立ち、貧困体験をもとに執筆や問題提起を行う。著書に『年収100万円で生きる』(扶桑社) <取材・文/別冊SPA!編集部>
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?