もう一人、歴戦の兵にも話を聞いた。
「第2波到来を思わせるほど感染者数は増えていますが、第1波と違って相対的な死者の割合は減っています。新型コロナに対する恐怖感が弱まれば、経済活動もある程度続くはず。それ次第では、9月の中間決算で大きなチャンスが生まれるかもしれません」
そう話すのは、専業投資家歴32年のベテラントレーダー、
かぶ1000氏だ。
「第1四半期決算では通期の業績予想が未定の企業も多く、疑心暗鬼になり、不当に株価が下がる企業も多かった。しかし、8月の盛り返し次第では悪材料出尽くしと判断され、中間決算で大きくリバウンドする可能性もゼロではありません。しかし、当然さらなる業績悪化による減配や無配といったリスクも否めないので、
まずは少量仕込んでおき、決算を見て再度ポジションを見直すといった柔軟な対応が求められます」
銘柄選定についても持論を述べる。
「今は相場がかなり極端で、良い悪いが一目瞭然です。もちろん、今業績がいい銘柄を選ぶのが無難ではありますが、業績が芳しくない業界でも、ここで生き残りさえすれば競合が減る分、パイが増え、長期的に見れば得をするかもしれない。
まだ先行きは不透明なので、まずは自分の精通している企業や業界に絞って銘柄を選んでいくことが、大崩れしない秘訣だと考えます」
難しい局面だからこそ、慎重さが求められる。エキスパート3人の第2波への思考や備えを参考に、この夏を乗り切りたい。
●馬渕氏の推奨銘柄
エル・ティー・エス(6560)東1 現在株価3035円 目標株価5000円
企業と提携し、クラウドサービスのコンサルを行う。伊藤忠や大手メガバンクなど取引先が強い。東証1部に鞍替えし、引き抜きも駆使してエンジニアを大量雇用。準備は万全だ
コムシスホールディングス(1721)東1 3235円 4000円
5G関連の電柱や基地局などを手掛ける通信工事の企業。5Gが期待といってもフェーズがあり、今は工事系に光が当たる段階だ。インフラ関連と同様の安定感があるだろう
マクアケ(4479)マザーズ 8850円 10000円
クラウドファンディングサービス。コロナによって消費者の消費行動に意思が生まれ、応援の風潮があるのも追い風だ。現状PER300倍と高すぎるので、押し目はまだ待ち
●弐億氏の推奨銘柄
ブリッジインターナショナル(7039)マザーズ 現在株価3440円 目標株価6000円
電話やメールを用いた非訪問の法人向け営業代行サービス業。法人のアフターサービスなども手がける。リモートワークの普及もあり、今後も需要拡大が見込まれる
イオンフィナンシャルサービス(8570)東1 901円 1500円
イオングループのショッピングカード管理などを行う。今後、生活必需品を手がける小売店が再開すれば、クレジットカード需要も復活するはず。来期以降、より先をみた選定だ
きずなホールディングス(7086)マザーズ 1598円 2500円
家族葬を中心とする葬祭業。葬儀に呼ぶ人の数が減ったことにより、黒字幅は減少も、葬儀自体はなくならないし、出店ペースも速いので、先々を考えると成長トレンドと見る
●かぶ1000氏の推奨銘柄
東日本旅客鉄道(9020)東1 現在株価6976円 目標株価10000円
リモートワークや自粛の影響で株価は1 万円から7000円以下まで低下。インフラ系は日常生活で不可欠な業種であり、元に戻るだけで50%以上の値上がりの余地があるのは大きい
三菱地所(8802)東1 1586円 2500円
保有する賃貸不動産の含み益は4 兆円を超える。一等地の不動産を持っている企業の株価が下がっている今、狙い目だと考えていいだろう
第一興商(7458)東1 3140円 5000円
カラオケは一番身近なレジャーとして今や市民権を得ている。第一興商は業界首位でストックビジネスとして手堅く、財務体質も堅安。落ち込みが続いても耐えられるはず
【テクニカルアナリスト 馬渕磨理子氏】
日本テクニカルアナリスト、フィスコ企業リサーチレポーター。テクニカル分析の観点から株式相場を鋭く切る。
Twitter@marikomabuchi
【兼業投資家 弐億貯男氏】
セミリタイアに必要な2億円を貯めるべく株式投資を開始。成長株への中長期投資で’19年に2億円達成。いまだ兼業で資産を積み上げる達人だ
【専業投資家 かぶ1000氏】
中学生ので株を始めた生粋の株式投資家。バリュー株への投資を得意とし、累積利益は3 億5000万円以上。
ブログ「かぶ1000投資日記」
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!8月4日発売号より