校則は令和でもやっぱりヘンだった! トンデモ校則はなぜ続くのか?

理不尽校則増加の要因は親・教師・生徒の三者にあり!?

 こうした理不尽で不合理な“トンデモ校則”が続々と誕生している理由を、内田氏は「一部の“モノ言う保護者”たちの存在によって、学校側もクレームを受ける前に先手を打って、とにかく校則を多く作っておいたほうがラクだと考えるようになった。こういったことも背景にあるのではないか」と分析する。  しかし、これで驚いてはいけない。想像もつかないような“トンデモ校則”はまだまだある。 「紫色の持ち物が禁止でした」と当時を振り返ったのは、亀山謙太さん(仮名・20歳)。その理由を尋ねると「ヤンキーの間で紫色が流行しており、それを止めるためだった」とのこと。 「校則に書かれてはなかったけど、整形やプチ整形が禁止で、友達が反省文を書かされていました」と答えてくれたのは尾崎由紀さん(仮名・19歳)。友達は鼻を整形したことを担任教師に見抜かれたという。  また、「うなじが男子の欲情を煽るのでポニーテール禁止でした」と語ったのは丸山美穂子さん(仮名・25歳)。「髪の毛が長くて束ねたいだけなのに、面倒な校則でした」と語る。  さらに、現役高校生の町田浩一さん(仮名・17歳)は「緑茶とコーヒーの持ち込みが禁止です。理由はカフェインが体によくないかららしいけど、カフェインたっぷりのエナジードリンクを飲んでいることは注意されたことないですね」と笑った。  校則を理不尽に思っている生徒たちはなぜ抗議をしないのだろうか。須永氏はこう分析する。 「’10年代の生徒は『内申点』や『進路』を気にして、校則を変えようという運動を起こす生徒が減少した印象があります。世代的にリスクを冒さないようになりつつあるのかなと……。もちろん、生徒会で校則を変える署名を募って提出した事例も聞きましたが、その際は生活指導担当の教師に握りつぶされてスルーされたそうです」

トンデモ校則に悩むのは生徒だけではなかった

 ここまで聞くと、教師の古い体質に大きな問題があるように思えるが、教師側にも意見はあるようだ。内田氏は語る。 「近年、教師の長時間労働が増えたことも社会問題になっており、教師側もかなり疲弊している。トラブルを防ぐために、仕方なく校則を強化している部分はあるのかなと思います」  P&Gが2019年に行った「髪型校則に関する調査」によれば、「時代に合わせて、校則も変わっていくべきだと思いますか?」という教師への問いに対し、実に92.1% が「そう思う」(「そう思わない」は7.9%)と回答していたという。  では、令和になってもはびこり続ける“トンデモ校則”をなくすにはどうすればよいのか。  須永氏は「“ツーブロックヘア論争”は非常によい問題提起になりました。メディアで“校則”に関する議論がもっと巻き起こることが大事。そのために私たちのプロジェクトでもおのおので調査や教育委員会への提案・啓発などをより進めていきたい」と語った。また、内田氏は「教員の働き方を改革することで、校則を緩めることができるかもしれない」と提案した。  ドラマ『白線流し』のモデルになった伝統校・岐阜県立斐太高校では、女子生徒の「黒タイツ着用禁止」をめぐって、生徒会執行部が教師や保護者、OBと対等な立場で意見を言い合える会議を実施。見事に、校則廃止に追い込んだ。  こういった事例のように生徒自らが校則を変えていこうという意欲的な気持ちがない限り、“トンデモ校則”はなくならないのかもしれない。
校則は令和でもやっぱりヘンだった! トンデモ校則はなぜ続くのか?

「私たちの校則は私たちでより良く」という思いから黒タイツ禁止を廃止した岐阜県立斐太高校。今後のロールモデルになるべき学校だ

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校則がなくなったことで生徒の成績が向上したケースも
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