Puduロボティクスの最新機種(配膳ロボット)。安価で高性能なため、日本での運用も期待されている
新型コロナウイルスの第2波の襲来で、東京では8月からまた飲食店の営業短縮要請が出された。飲食業界が窮地に陥るなか、米中で導入が進む飲食ロボットは救世主になるかもしれない。可能性を探った!
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大打撃を受けている飲食業界。客足減少に加え、感染予防対策の徹底を余儀なくされており、経営的負担はますます増え続けている。そんな危機的状況を克服する手段としてウーバーイーツなどITを活用したサービスが注目されているが、世界の飲食業界ではさらに一歩進んだ試みが生まれつつあるという。テクノロジーメディア「
ロボティア」編集長の河鐘基氏は説明する。
「現在、接触を減らしつつ、店舗営業効率を最大化するためのテクノロジーの導入が世界中で一気に進もうとしています。中心にあるのは、自律型ロボットなど次世代テクノロジーです」
飲食店によるロボット導入の動きは’16年頃から世界各地で散見されたが、技術的な限界や人間中心の営業オペレーションとの融合の難しさにより、普及しなかった。それが、コロナ禍を受けて堰を切ったようにトレンド化したのだ。
「飲食ロボットにはさまざまなタイプがありますが、急速に普及しているのは配膳ロボット。さらに料理をする調理ロボットも登場し始めている。中国ではそれらを組み合わせて、調理から配膳まですべてロボットで行う全自動レストランもオープンしています。ウーバーイーツなどIT×デリバリーが『飲食2.0』だとすれば、世界では『飲食3.0』とも言うべき新たなフェーズに入ろうとしているのです」(河氏)
飲食業界におけるロボットの活用が最も目立つのは中国だが、どの程度、普及しているのか。飲食分野などサービスロボットの導入・運用を行うコンサルティング企業・海容の馬場大地代表は言う。
「中国にあるサービスロボット開発メーカーは、大小合わせて数十社以上あり、導入している飲食店も1万店舗以上あることがわかっています。主に普及しているのは配膳ロボットで、一台あたりの価格は100万~300万円。最近では感知レーダーや3D画像処理センサーの技術的な進歩やコスト低下を追い風に、最新の設備が搭載され始めています。衝突回避機能や自動充電機能が搭載されており、今後は皿の回収などの作業も自動化が見込まれています」
コロナ禍以前、中国の飲食店では「話題性のためにロボットを導入することが多かった」と馬場氏。しかし、現在は人件費削減や店内オペレーションの効率化、感染対策の強化など実用性に目を向け始める飲食店が増え始めている。
なお、飲食ロボットメーカーとして最も有名なのはPuduロボティクスで、日本にも進出している有名火鍋チェーンの海底撈の約200店舗に加え、計5000台以上が中国のレストランやホテルで導入されているという。