入管法改正から30年。日本経済を支え続けてきた「日系ブラジル人」の再評価を
2020.08.06
ここ30年間の日本人の生活にとって、実は日系ブラジル人の存在は切っても切れないものである、と聞いたら驚かれるでしょうか?
例えばトヨタ、ホンダ、ヤマハ、スズキ、スバルを筆頭に、日本の自動車メーカーと部品メーカー、さらにMade in Japanの携帯電話、家庭内で使われる電化製品の多くが、日本各地の工場で彼らによって製造されてきました。
この30年間の、日本の基幹産業は日系ブラジル人なくしてはありえませんでした。今後も彼らの存在なくして、日本は基幹産業に限らずさまざまな事業を経営していくことはできないでしょう。
これまでの彼らの貢献と実績は、日本ではあまりにも知られていません。メディアや経済的な評価の場でも、ほとんど取り上げられてきませんでした。なぜでしょうか?
2020年、入国管理法が改正(1989年)→施行(1990年)されてから30年が経ちました。そもそもこの法改正は、日本の基幹産業を支えてもらうために外国人の移住をしやすくするという“国策”によるもの。これによって「日本系」の労働者が日本に大量にやって来ました。
彼らは20世紀初頭以降、日本政府の“国策”で海外に移住した日本人の子孫たちです。南米大陸のペルーやパラグアイほか、日系人が多い国々からの来日もありますが、ズバ抜けて多いのが「日本人が世界で最も多く移民した国」=ブラジル連邦共和国籍の人たちです。そして今や、ブラジル本国に限らず世界の英語メディアで「Dekasegi」という言葉は珍しくなくなりました。
2007年末は31万3771人もの「日系ブラジル人」が在留登録されました。ところが2008年9月のリーマンショックの影響、さらに2011年東日本大震災の影響で、2015年末には17万5410人にまで減少。しかし、2016年から増加に転じ、現在は再び20万人を越える日系ブラジル人が日本の基幹産業をはじめさまざまな産業を幅広く支えています。
法務省の公表では、2019年末の在留外国人数は293万3137人。前年末に比べ20万244人(+7.4%)の増加となり過去最高を記録。
日本の在留外国人は1位が中国人、2位が韓国人。いずれも往来や関係性の深い近隣国です。続いて、長らく3位だったのは、日本の基幹産業を支えるために遠く地球の反対側から来たブラジル人でした。そのうちのほとんど、99%以上が日系ブラジル人です。
しかし、彼らは2011年の東日本大震災による経済・雇用の後退が起きて一方的に大量解雇され、日本政府による帰国支援もあってその数は減少しました。翌2012年にはフィリピン人に抜かれて4位に後退。さらに近年はそのフィリピン人を抜くベトナム人の急激な増加によって、ブラジル人は5位となりました。しかし、現在も20万人以上のブラジル人が在留、前年比+5.5%の増加率で日本経済に貢献しています。
● 法務省2019年発表の在留外国人数
3位 ベトナム人 37万1755人 (構成比13.1%/+12.4%)
4位 フィリピン人 27万7409人 (構成比 9.8%/+2.3%)
5位 ブラジル人 20万6886人(構成比 7.3%/+2.5%)
この中で「外国人技能実習制度」による実習生が
1位 ベトナム人 約13万人
2位 中国人 約8万人
3位 フィリピン人 約3万人
*ブラジルは制度対象国ではない。
なぜ、日系ブラジル人が日本に?
現在も20万人を超える日系ブラジル人の労働力
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