Ryuji / PIXTA(ピクスタ)
感染者数の最多人数が連日のように更新されるなど、新型コロナの猛威が止まらない。日本経済が急速に冷え込むなかで、各産業はどのような打撃を受けているのか。
ほぼ全業界で甚大な被害。今後さらに厳しさを増す業界は?
新型コロナの流行が始まって以来、急速な不景気の大波がさまざまな業界を巻き込んでいる。7月14日に帝国データバンクが出した「
新型コロナウイルス関連倒産業種別件数上位」(表①次ページ参照)を見ると、全336件のうち
「飲食」「ホテル・旅館」が約3割を占めた。同社情報部の丸山昌吾氏が解説する。
「当初は中国からの渡航規制の影響でホテルや観光業の落ち込みが目立ちましたが、自粛が始まり飲食店の倒産数が追い抜いた形です。アパレル業界も同様ですが、業界全体が落ち込んでもワークマンや西松屋など独自の商品構成で営業する企業や強いEC基盤がある一部の企業はむしろ伸びています。ただ、全体的には今は金融機関の支援である程度、倒産が抑えられている状態でしょう。
8月から年末に向けて、徐々に倒産数は増えていくと予測しています」
なかでも不安視されるのが、
不動産や建設業界だという。
「建設業はもとから人件費の割合の高さが問題でしたが、外国人労働者がいなくなり、さらに厳しくなるでしょう。また、大手ゼネコンが一時工事を中止したことで工期が遅れ、月ごとの売り上げが大きく落ち込んだ下請け業者も出ています。建物の竣工が遅れればマンションデベロッパーなどにも波及するでしょうし、懸念材料は多いです」
また、さらに多種多様な業界に対する影響を“予測”するデータもある。表②(記事後半参照)はAI分析を手がけるフィンティックベンチャー、ゼノデータ・ラボが公開した「
63業界影響度ランキング」だ。国内外の経済ニュースやIR情報をAIに解析させ、63業界に分けて影響度スコアを算出している。同社代表の関洋二郎氏が解説する。
「弊社では4月から各業界への影響度ランキングを、随時情報をアップデートしながら公開していますが、おおむね今の状況と合っている印象です。観光・宿泊、外食、百貨店がTOP3にくるのは納得だとして、自動車が続くという結果に、算出した側としても不安になりました。自動車業界は市場規模も大きく関連業界が多いので、今後は部品や塗装、鉄鋼、広告など多くの業界に影響が広がるのではないかと予想しています」
ランキングには、意外な結果になる業界もあったという。
「例えば運輸業。ネット通販の需要増で好調のように思えますが、実際には
企業間の物流がなくなった影響のほうが甚大でした。AIによって因果関係を繋げていくと、
コロナの影響が驚くほど広範囲に及んでいるとわかります。『会社に行かなくなる』という生活変化だけでも、不動産、文具、紳士服、交通、運輸、化粧品などさまざまな業界に影響が広がっている。
第2波の状況を考えても、この流れはまだ続くのではないでしょうか」