インターネット、メディア、公共の場に氾濫する日常的な性差別
また、日常生活においても「性差別」を感じる女性が多いことが分かった。
92%もの女性が「普段の生活で、性的な嫌がらせや差別を経験したり見たりする」と回答している。10人に9人、ほとんどの女性が性差別に不安や懸念を抱えているということだ。場所についてはインターネット上で、という人が86%で最も多く、次いでメディア(83%)、公共の場(64%)、学校(51%)、アルバイト先(39%)と続いた。
インターネットでは「SNSで知らない人から性的な話をされ不快になった」、「痴漢などの性被害で、被害者の落ち度を探してそんな格好をしているからだ、男を誘う女が悪いなど誹謗中傷する」など性差別的な書き込みを見たという声が多かった。
メディアについては「テレビ番組で女優にわざと下品な言葉を言わせている場面を見た」、「『女子力』と言ったり、家事に関することをわざわざ『頑張るママ』など性別を特定したりした言及が多い」といった意見があった。メディアから伝えられる古いジェンダー観が、SNSでの差別や嫌がらせを助長していることも懸念される。
学校やアルバイト先でも「ゼミでなにか発言しようとすると『女は黙ってろ』と言う人がいる」、「上司が陰で『女は働く量が少ないから雇いたくない』(…)と言っているのを聞いた」など、と無意識に行われる差別に晒されている。
もっと直接的なセクハラを受けている人もおり、「具合が悪くお腹をさすっていると『妊娠ですか?』とニヤつきながら聞かれた」という人や、着替えを覗かれるなどもはや性犯罪に当たることが日常的に起こっていることが分かった。
家にいる時など、プライベートの時間にはインターネットやメディアによる性差別を目にし、学校や職場に行けば、直接的な性差別を含む言葉を投げかけられる。まさに日常的に、性差別の氾濫が起こっているのだ。
調査結果から、多くの女性が「女性である」ことを理由に就職活動で不利益を被ったり、出産や結婚と仕事の両立に苦労したりしていることがわかった。
出産後のキャリア形成に不安を感じている人も多い。「家庭に入る」という価値観は古いと感じている一方で、現実的な職場環境がそれに伴わないことから、理想と現実の狭間で悩んでいる姿が伺えた。
また、多くの女性はインターネットや公共の場など、身近な場所で性差別に晒されている。裏を返せば女性の身近で接する人々が、無意識に性差別を行っている状況があるということだ。
女性たち自身はジェンダーへの関心が高くなってきているのに、メディアや人間関係の中には根強く古いジェンダー観が残っている。多様化が求められる世の中で、女子大生たちが感じるリアルとの大きなギャップを感じざるを得ない結果となった。
<文/ミクニシオリ>
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。