選挙対策でコロナ感染者拡大の兆候を放置、その責任を都民に転嫁する小池百合子知事

「大阪モデル」以下の“欠陥商品”でしかなかった

パネルを持って都民に呼び掛ける小池百合子知事

パネルを持って都民に呼び掛ける小池知事。写真は7月17日の都知事会見

 この日も私は指名されなかったので、小池知事再選後の定例会見で初めての声かけ質問をした。 横田:知事、都知事選中の甘い対応が過去最高の感染者数を招いたのではないですか。選挙ファースト、自分ファーストではないですか? 知事選圧勝で総理ポストを目指すことしか考えていないのではないですか? 小池:(無言のまま会見場を立ち去る)  2期目になっても、権力の階段を登り詰めることしか考えていない姿勢が浮き彫りになったような気がした。  もともと「東京アラート」は、コロナ対策で人気急上昇をした吉村洋文・大阪府知事の「やってる感演出」の一環、「大阪モデル」の真似だった。コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請・解除について大阪独自の基準「大阪モデル」を作った吉村府政は、その警戒基準として「赤色(警戒レベル)」と「黄色(注意喚起レベル)」と「緑色(基準内」の3段階を設けた。  そして、5月11日から通天閣や大阪城、万博跡地の「太陽の塔」をライトアップすることになった。3日後の14日には、「大阪モデル」の基準(数値目標)が7日連続でクリアされたことから点滅当初の「黄色」から「緑色」へと変わった。  もちろん、この「大阪モデル」も感染症対策として科学的根拠に欠けた「やってる感」演出の一環に過ぎないほとんど意味のないシロモノだったが、小池はこの「ライトアップ」を評価し、同じようにコロナ感染拡大の警戒レベルを決める東京都独自の基準(数値目標)を作って「東京アラート」と名づけて、レインボーブリッジや都庁での点滅を始めたのだ。 「東京アラート」で吉村知事と同じく支持率アップが期待できると目論んだに違いないが、見かけはほぼ同じでも、中身は大阪モデルよりさらに科学的根拠に欠けた「それ以下」のシロモノだった。 「大阪モデル」の場合、科学的根拠に欠けたものであったが、数値目標を簡単に廃止すること無く、その結果吉村府政では7月13日、それまで「緑」だった通天閣に「黄色」のライトが再点灯することになった。「新規の感染経路不明者(直近7日間平均で10人以上)」「経路不明者数の前週比(同2倍以上)」「直近7日間の累積新規感染者数(計120人以上かつ後半3日間で半数以上)」の基準を上回ったためだった。  これに比べて小池都政では、感染者数100人超えが続いてもレインボーブリッジが再び「赤色」でライトアップされることはなかった。都民の感染拡大防止には役に立たない、“欠陥商品”でしかなかったということだ。  都知事選中の甘い対応を反省せず、自らの職務怠慢を棚に上げて「都民の努力不足」に責任転嫁をする小池都知事こそ、都内で300人を超える過去最多の感染者を招き、全国にコロナ第二波を広げた最大の原因だといえる。 <文・写真/横田一>
ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数
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仮面 虚飾の女帝・小池百合子

都民のためでも、国民のためでもない、すべては「自分ファースト」だ