バルセロナ観光協会のエドゥアルド・トッレス会長はカタルーニャ州テレビTV3のインタビューで稼働率が近く20%まで増加することを希望していることを述べ、35%から40%まで到達することを願っていることを語った。更に、インタビューを利用して同氏は赤字になるのを覚悟して営業を再開したホテルに感謝を表明した。そして、「今年の稼働率が20%から30%に収まるようになれば満足だとする」と述べた。
更に同氏は多く事業家がビジネスが再開しないことを承知しており、来年に彼らの多くが期待を込めてはいるが、その時も経済的な問題は存在し続けると同氏は指摘した。
それにしても、カタルーニャにおける観光業で雇用されている人の数はおよそ90万人。彼らの今後が非常に不安になっている。(参照:「
ABC」)
新規の感染が拡大しているということで外国からスペインを訪問しようと予定している観光客を足止めさせることにつながるのは必至だ。バルセロナはスペインで最も訪問客の多い都市だ。これまでバルセロナには年間1200万人の外国からの訪問客を受け入れていた。ということで、バルセロナでは封鎖解除のあと営業を再開しているホテルでも特に小規模のホテルでは9月から営業停止に入る可能性は高い。20%とか30%の稼働率では採算ベースに乗らないからである。赤字に耐えられるだけの資金力は彼らにはない。
バルセロナがこのような事情を抱えているということから、スペインの他の都市でも同様の問題に直面しているということだ。
観光業ではあたかもコインの表と裏のごとくホテルを表とすれば裏にはバルとレストランがつきものだ。スペインにはバルとレストランは27万9400軒あるとされている。ところが、その内の4万軒は今年廃業すると予測されている。この業界では20万人が雇用されている。ここでも失業者の増加は必至だ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身