GoToキャンペーン事業ゴリ押し宣言をした西村経済再生担当相(衆院インターネット中継より)
安倍政権のすることが理解ができない。2020年7月10日、東京で過去最悪の247人の新型コロナウィルス の陽性者が報告された。その日に、
赤羽一嘉国土交通大臣は、
GoTo旅行キャンペーンを前倒しで行うと発表した。
元々評判の悪い政策だった。一つは例の
3000億円の手数料や経費が、またもや大手広告代理店とその系列などに流れるスキームが明らかになっているからだ。このGoToキャンペーンは、日々感染者が増えてウイルスの封じ込めに集中すべき今年の4月の国会で可決された。予算総額は
1兆7000億円。野党からの批判に、
安倍首相はコロナが終息したらこんな経済対策をすると言う灯火のようなもの、として位置付けた。コロナに打ち勝った後は、こうやって皆さんの産業を政府は後押ししますよと前もって伝え、希望をもってもらうというわけだ。しかし、
今はまだ感染は全く終息していない。
6月初めは主に東京の感染が問題視され、確かに感染の中心地だったが、7月には感染は再び全国に拡がり始めている。もはや多くの人が都内では市中感染は蔓延し、いわゆる第二波がこんなにあっという間にやってきたのだと感じている。感染中心地の東京では、知事も不要不急の都県を越えての移動の自粛を要請した。そんな状況下で観光業を促進するとは新型コロナウィルスを東京から全国に運ぶことに国が多額の援助をするようなものだ。時期が悪すぎる。
1兆7000億円もの予算があるのなら、ローラー式のPCR検査をして無症状者を見つけて隔離してほしい。中国の武漢でさえ
990万人ほぼ全ての市民にPCR検査を19日間で行い、300人の無症状の陽性者をあぶり出し隔離した。
北京では1日で最大100万人の検査ができている。東京は検査数が増えたといっても1日3000人程度である。桁が違いすぎる。そして、コロナウィルス の恐ろしさはこの無症状の感染者が街を出歩き、不特定多数にウィルスを撒き散らすことなのだ。こうしてウィルスが静かに広がっていくところにある。果たして、今の東京にどれだけの知られていない無症状の感染者がいるのだろう?これだから、怖くて街に出られない。経済活動もできない。最近の私はまたもや自粛生活に近くなってしまった。ローラー式の大規模検査をした中国の武漢では街中からはコロナウィルスがほとんど無くなったおかげで、市民は安心して外に出られるし経済活動もできている。こんな当たり前で自明なことを、なぜ安倍政権下の日本ではできないのか?
いやできないはずがない。日本の優れた検査技術はすでに今回の危機でも多くが海外で採用されている。それなのになぜか日本国内では使われない。大規模検査もいまだにされない。観光業が心配でも、わざわざGoToキャンペーンで3000億円もの手数料と事務経費を大手広告代理店などに払って旅行推進事業をしなくても、コロナの危機が去れば黙ってでも多くの人が旅をするだろう。
いま観光業に必要なのは価格の安さよりも安全なのだ。観光業への最も強力な支援策は旅行代金を下げることではなく、感染防止と感染している人を市中からできるだけ多く見つけ出し、1日も早く安心して経済活動ができる、旅ができる、それまでの社会生活を取り戻し、観光を含むリクリエーションが安心してできるような環境を作り出すことなのだ。
それこそが、ウィルス対策になり、医療崩壊を防ぎ、さらに経済活動も再開できる、世界中がやっているコロナウィルスの大規模PCR検査には、1兆7000億円ものカネは必要ではない。
中国武漢では990万人の検査に360億円程度しか使っていないそうだ。私は、
1兆7000億円も予算を組むのなら、旅行業への援助よりも自らの命の危険も顧みずコロナウィルス と戦ってくれている医療関係者への報奨金や、経営悪化している医療機関への援助に使うべきだと思うが、いかがだろうか。特に大手広告代理店や傘下の企業の手数料や事務経費に使う必要はない。そんな当たり前のことがなぜ日本の政治ではできないのか?