キャバクラ嬢が全員申請。一人20 万円をピンハネ!
政府は2020年度の第一次補正予算で、持続化給付金に2・3兆円もの補正予算を組んだ。この対応に異論はないが、理念に反した申請が横行しているのも事実だ。
持続化給付金の不正受給を取材しているフリーライターの奥窪優木氏も、悪徳士業の実態についてこう明かす。
「都内のあるキャバクラグループは、顧問の税理士が悪知恵を働かせ、所属するキャバ嬢全員に不正受給させたそう。それまで所属キャバ嬢には給与支払いをしていたんですが、それを昨年から業務委託だったことに解釈変更し、キャバ嬢を個人事業主として扱い、確定申告も代行したとか。キャバ嬢のほうも、何もせずに100万円が振り込まれたものだからホクホク顔。ただ、申請代行費として、一人当たり20万円を差し引いたそうです。このグループは総勢60人近くいたので、約6000万円が不正受給されたことになる。彼女たちから上前をはねた1200万円は、社長と税理士が山分けしたんでしょう。このように、持続化給付金をしゃぶり尽くしてやろうと言わんばかりの悪徳士業が暗躍している」
持続化給付金の給付規定よると、こうした不正受給が発覚した場合、「不正受給を行った申請者は、前項第2号の給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務を負う」としている。火事場泥棒への罰則としては軽すぎるように思える。
また、確定申告の内容の偽装や勝手な解釈変更は、税務署からも睨まれそうだが……。元国税庁調査官で税理士の松嶋洋氏は話す。
「税務署が関心あるのは、納められるべき税金が正しく納められているかどうかだけ。前年の売り上げ水増しや、給与所得から事業所得への解釈変更なども、課税額さえ減らなければ調査に乗り出すようなことはないでしょう」
やはり非常時の給付金は、性善説でばらまくしかないのか? 前出の奥窪氏はこう指摘する。
「個人事業主に限っては“希望者全員に一律給付”という選択肢もあったのでは。それなら少なくとも他人に給付金の不正受給を指南して上前をはねるような輩は排除できたはず」
言うまでもなく、余分にばらまかれた持続化給付金のツケを支払うのは我々国民である。近い将来、“コロナ増税”となって返ってくるかと思うと、やり切れない。