コロナへの不安で性格が豹変!? 今すぐ始められる「保心術」とは

心身に影響する「割れ窓理論」

 この仕組みは、心理学的には「割れ窓理論」を当てはめるよく理解できる。割れ窓理論とは犯罪心理学の領域で有名な理論で、犯罪の多かった街は割れた窓が多く、それを全部キレイに修復すると犯罪の数が減ったというものだ。  環境の無秩序を放置しておくと、人間の無秩序も進んでいく。しかし、小さくても環境の秩序を整えることで、そこに住んでいる人の秩序も整っていく。  この理論は、自分の身だしなみ、マナーをどれくらい守っているか、部屋をどれだけ整理整頓できているかにも当てはめることができる。服が乱れると心が乱れるのか、心が乱れると服が乱れるのかは、相互作用なのだ。  リモートワークで家に引きこもって人に会うことが減ったが、それでも毎朝寝癖を直したり、男性の場合は髭を剃るなどを怠らない人、メールを使った人の姿が見えないコミュニケーションでも「ありがとう」や「こんにちは」などの礼儀を忘れない人は自己管理がしっかりできており、仕事のパフォーマンスも安定しているだろう。そして、監視の少ないリモートワークであろうと、しっかり仕事をこなしてくれるはずだ。また、習慣を守る余裕があるため、人に対しても優しくしていられる

性格を変えるコロナショック

 みなさんはどうだろうか。外出することが少なくなって、身だしなみが乱れたりしていないだろうか。また、PC画面越しだと相手への共感力が下がってしまって、人に対する礼儀が疎かになっていないだろうか。  小さな変化があなたの行動を大きく変えてしまう可能性があることを忘れてはいけない。たかが身だしなみ、礼儀でも、あなたの性格をちょっとずつ、だが確実に変化させてしまう。  まずは、朝に家で仕事を始める前に、ちゃんと身だしなみを整えるところから、始めてみてはいかがだろうか。そして、部屋の整理整頓など、自分自身や周囲の環境の秩序を整えていくことで、自分を見失わず、自分の秩序を保っていってほしい。  また、SNSを見ると自粛による不満の声が多く見えるが、その裏側でも、多くの人が昔の生活を取り戻そうと頑張ってくれていることを忘れてはいけない。そういう人たちに必要なのは、不安の声ではなく「優しさ」や「応援」の言葉のはずだ。  コロナで不安や恐怖を感じていても、人間同士は優しくいられる世界になってほしい【参考資料】SNS 疲れを測る(1) 受動的 SNS ストレスイベント尺度の作成』森丈弓ほか 『成功が約束される選択の法則: 必ず結果が出る今を選ぶ5つの仕組み』ショーン・エイカー(徳間書店) 『大河の一滴』五木寛之(幻冬舎文庫) <文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
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