都知事選の供託金300万円は高すぎる? 供託金が引き上げられてきた理由とは

高額の供託金、立候補の足かせに

選挙 選挙に立候補するとなると多額の金銭がかかります。選挙カーを借りたり、ポスターを刷ったりする費用というもの以前に供託金を用意しないと立候補の手続きすらできません。  この供託金ですが、しばしば金額の高さが問題となります。現在、行われている東京都知事選に立候補するためには300万円もの高額な供託金を用意する必要があります。  また、衆議院や参議院といった国政選挙の選挙区でも同様に300万円、身近な選挙といえる区市議会選に立候補するのですら、30万円もの金額を供託する必要があるのです。  この供託金は供託金没収点という一定以上の票を得れば返還されます。区市議会選のようなレベルでは、このハードルは決して高いものではありませんが、知事選や区市町村長選といった首長選では有効投票数の10分の1、つまり10%の得票率を記録する必要があり、これはかなり高いハードルとなっています。  諸外国を見てみると、このような供託金制度がないか、あっても日本に比べると低額となっています。日本の余りにも高額な供託金制度は国民の政治参加の権利を侵害しているという批判も多くあり、日本国憲法第44条の「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」に反して違憲であるとして裁判も行われています。  一方で供託金制度は売名目的の立候補を防ぐことや選挙公営制度維持のために必要であるという意見もあります。

資金力で差がつかないように 選挙公営制度の理念

 選挙公営制度(公費負担制度)とは何でしょうか。日本の選挙の基本理念として、選挙活動に金がかからないようにし、資金力の差によって過度に差がついてはいけないということがあります。  これは選挙に多額の費用をかけてしまうと、様々な不正や腐敗の温床になるからです。そのため、選挙のルールである公職選挙法では選挙運動を無制限に行えないようにする一方、候補者に対して、国や自治体が様々なサポートをすることが規定されています。  例えば、選挙公報は各候補者が自身の政見を伝えるためのツールですが、印刷や配布などは全て選挙管理委員会が行ってくれます。  また、テレビやラジオでやる政見放送も候補者は特に費用がかからず、国や自治体が公費でその費用を負担してくれます。このほか、前述した供託金没収点以上の票を得なければならないという条件があるものの、一定額までポスターやビラの印刷費、選挙カーの費用といったものも公費で負担してくれます。
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選挙公営制度が悪用された結果……
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