自然が壊されすぎてウイルスの居場所がなくなり、人との「距離」が近くなった
一条の光が差し込む一瞬のタイミングを逃さないように
自分はコロナ禍の中、多忙を極めている医療現場で働いています。物資が乏しい現場、重症者が多い現場、院内感染が起きた現場、あらゆる現場があると思います。
医療のプロは、どんな闇の中でも、必ず一条の光が差し込む瞬間が来ることを知っています。
だからこそ、どんな暗闇の中でもその光の方向へと歩いていけるのです。辛い時でも悠然と落ち着いて前を向いて歩んでいけます。そのために遠い先を見つめるのです。一条の光が差し込む一瞬のタイミングを逃さないようにしながら。
自分が緊急事態ばかり起こる医療現場で学んできたのは、そうしたことです。
【いのちを芯にした あたらしいせかい 第3回】
<文・写真/稲葉俊郎>いなばとしろう●1979年熊本生まれ。医師、医学博士、東京大学医学部付属病院循環器内科助教(2014~2020年)を経て、2020年4月より軽井沢病院総合診療科医長、信州大学社会基盤研究所特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、東北芸術工科大学客員教授を兼任(山形ビエンナーレ2020 芸術監督 就任)。在宅医療、山岳医療にも従事。未来の医療と社会の創発のため、あらゆる分野との接点を探る対話を積極的に行っている。著書に、『いのちを呼びさますもの』、『いのちは のちの いのちへ ―新しい医療のかたち―』(ともにアノニマ・スタジオ)、『ころころするからだ』(春秋社)、『からだとこころの健康学』(NHK出版)など。公式サイト
ハッシュタグ
