保育に関わる人同士が関わり、仕事に前向きになれる場にしたい
オンラインサロンには現役の保育士、幼稚園教諭を始め、これから保育士を目指す学生が参加できる。
サロン内では、幼児教育や、人材教育、さらには自己成長などをテーマに各業界・分野の著名人をゲストに招き、トークショーを毎月行うほか、市村さんが主催のワークショップも同じく毎月実施する。
開催日は未定だが、男性保育士として有名なてぃ先生をゲストに招いたトークショーも年内に予定している。
「サロンでは、『保育をよりよくしたい、今の保育業界を変えていきたい』と思う保育士が、人間関係や保育経験が豊富な保育士、体操指導のスペシャリストなど、保育に関わる様々なゲストから話を聞き、自園に戻って活かせるような学びの場を提供していきます」
市村さんは、「自園では同じ目標を持つ仲間が作れず悩んでいる保育士たちが、園外で様々な保育士と交流を持ち、日々の保育で感じる様々な悩みや、その対策を共有する。そうすることで保育士同士がモチベーションを高め合えるコミュニティーとしても活用できると考えています」とオンラインサロンの今後に期待を寄せる。
サロンで学び、保育現場を変えるリーダーとなってほしい
市村さんはさらに「オンラインサロンで学びを深めた保育士たちと一緒に、保育環境をより良くできれば」と今後の展望を話した。
代表的な環境改善は、保育士の賃金の見直しだ。保育は子どもの命を預かるという重大な仕事であるにも関わらず、給与額は責任に見合っていない。厚生労働省は2013年、保育士資格を有しながら保育士として働いていない「潜在保育士」に対して保育士の仕事に就かない理由を聞いているが、トップは「賃金が希望と合わない」だった。
「教育の質を上げるためには職員の質が大きく関わってきます。そのためには、保育士が『この仕事に就いてよかった』と安心できる給与が必要。保育士の心のゆとりが保育のゆとりに繋がります」
給与以外には、前述のように労働環境の問題も大きい。組織風土のほか、職場や保護者との人間関係、休暇が取りにくい状況などから離職する保育士は多く、保育現場では人手不足が続いている。
市村さんは、「オンラインサロンで学んだ保育士の方々がリーダーとなって保育現場を変え、保育が楽しくてたまらないと思う方が一人でも増えてほしい。保育現場はもっと良くなると僕は信じています」と、保育環境改善への熱意をあらためて語ってくれた。
<取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。